現在20歳の娘を持つ千秋さん。

 父親が大会社で社長を務めていたのを筆頭に、親族には経済界の重鎮がずらっと並ぶいわゆる“名家”の出身だ。

 千秋さん自身は2002年に30歳でココリコ遠藤章造さんと1度目の結婚をしたが、2007年に離婚。しかしその後もやりとりは続き、お互いの再婚後も良好な関係を維持している。

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 伝統的な家族観の家で育った千秋さんは、どうやって現在の家族観にたどり着いたのだろうか。

千秋さん ©文藝春秋 撮影・杉山拓也

◆ ◆ ◆

――千秋さんのお父さんが大手ガラス会社の社長というのは有名です。家族は芸能界デビューに反対だったということですが、どんな雰囲気のご家庭だったんでしょう。

千秋さん(以降、千秋) 両親も親戚も堅い職業なので、芸能界なんてとんでもないという雰囲気でした。ふつう、芸能人になると親戚が増えるって言うじゃないですか。うちの場合は逆で、減りました(笑)。

――「私たちとの関係を明かさないでくれ」的なことですか?

千秋 芸能界入りが決まった時、親戚から実家に「お互い得しないから、外で関係を言わないでね。千秋ちゃんはそのあたりわかってるよね?」ってお願いの電話がかかってきたらしいです。

 なので検事とか弁護士とか新聞社の人とか、めちゃくちゃネタになる面白い人がいっぱいいるんですけど、お願いされちゃったので親戚の話はしませんでした。

 

「千秋ちゃんは東大にいくよね?」「うん、行く!」

――千秋家の「やんごとなき感」が伝わってきます。

千秋 私がデビューした後、実家の前で記者の人が待ってたことがあって、てっきり私の取材かと思って「しゃべることないから帰ってください」って言ったら、「取材したいのは社長のお父様の方です」って言われたことがあります。あとから聞いたら日経新聞の記者さんで、すごい恥ずかしかったです(笑)。

――そんなご両親は千秋さんに、やはり大きな企業への就職を望んでいたのでしょうか?

千秋 そうだと思います。お母さんは専業主婦だったんですけど、結婚前まではちゃんと仕事をしてて、たしか女性ではじめて英検1級を取得したとかいう経歴がある雑学王。お父さんは京大の大学院を出た理系の人で、うちには完璧な家庭教師が揃ってました。小さいときから親によく「千秋ちゃんは東大にいくよね?」って言われてました。

――それはプレッシャーですね。

千秋 最初は私も「うん、行く!」って気軽に答えてたんですけど、全然無理で。でも、親も大変だったんだと思います。周りのいとこたちは東大や名門大学にバンバン入ってくのに、私だけ「うるせー!」とか言って反抗的だし、勉強もしない。親戚から「あそこの家は子育てに失敗した」って思われてたんじゃないかな。親に申し訳ない気持ちもあったけど、「だって私できないもん!」の方が強かったんです。