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マスコミ恐怖症だった佐々木朗希が3・11に言った「ちゃんとしゃべった方がいい」 そのウラに”イチローの言葉”

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 3月10日、世界一奪還を掲げてWBCを戦う侍ジャパンは、“宿命のライバル”韓国と激突した。序盤に先発のダルビッシュ有投手が韓国打線に捕まり、3点をリードされるも後半に侍ジャパンの打線が爆発。近藤健介のWBC初本塁打も飛び出し、13-4の大勝で2次ラウンド進出にぐっと近づいた。

 そして、今夜11日のチェコ戦で先発が予定されているのが、佐々木朗希だ。

 佐々木にとって「3月11日」はとりわけ深い意味を持つ。12年前の今日は、東日本大震災で父と祖父母を亡くした日だ。昨年4月には、NPB史上16人目となる完全試合を達成した佐々木。目覚ましい成長の秘密を報じた「週刊文春」の記事を公開する。(初出:週刊文春 2022年4月28日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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“令和の怪物”の素顔

 約3万人の観客が集まったZOZOマリンスタジアム。4月17日、“令和の怪物”は大勢のファンが集まった感想を聞かれると、こんなジョークを飛ばした。

「(人気アニメ「鬼滅の刃」のイベントが行われている)幕張メッセと間違っているんじゃないかなと」

 ロッテの佐々木朗希(20)が完全試合を達成したのは、4月10日のオリックス戦。さらに翌週17日の日本ハム戦でも8回をパーフェクトに抑える快投を見せた。

13者連続奪三振も新記録

 偉業を成し遂げ、笑顔を弾けさせた佐々木。だが、これまでは苦難の道が――。

 岩手県陸前高田市出身の佐々木は小3の時に東日本大震災に遭遇。長身でバスケが得意だった父と祖父母を亡くした。津波は生家ばかりでなく、大切にしていた野球道具を呑み込んだ。

 震災後、大船渡市に移り住み、地元の大船渡高校に進学。バッテリーを組んだ及川恵介氏が明かす。

「当時から彼は勝つまでは気を抜かないという姿勢だった。ある年の大晦日、練習は休みなのに、呼ばれて一緒に練習したこともあります。野球以外では歌手のあいみょんが好きでしたね」