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《アラブの王族になりますよ》元朝日新聞・密着記者が見たガーシーの「無垢さ」とは?

2023/03/14

source : 文藝春秋 電子版オリジナル

genre : ニュース, 社会, 政治

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「王族になる」宣言

「アラブの王族になろうと思っているんですよ」

 東谷からそんな突拍子もないアイデアを最初に聞かされたのは、昨年7月の参院選のころだった。場所は欧米からの富裕層が多く住むドバイの人気エリア・マリーナ地区に借りていた彼のアパートメントの一室だったと記憶している。私はいつものガーシーCHの配信前の雑談で彼からそんな話を聞かされた。誰もが冗談としか思えないような話で、私も当初はそう受け止めたのだが、その後の行動を見ていくと東谷は結構真剣なようなのだ。

 その理由を経済学者成田悠輔とのオンライン対談で東谷本人がわかりやすく語っているので引用したい。

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「王族になりたいんですよ。めちゃめちゃハードルが高いとは思っているんですけどね、(可能性は)ゼロじゃないと思っている。(アラブの王族と)養子縁組をさせてもらうとか、王女さんと結婚するとか、いろんな形で入る形はあると思う。もし王族になれたら、大手をふって日本に帰れる。さすがにアラブのロイヤルファミリーの人は逮捕できないでしょう。漫画みたいなこと言っていると思うやろ。でも、実際に王族を紹介してくれる人がたくさん出てきたんですよ」(2022年8月19日 NewsPicks配信)

参院選出馬説得のためドバイ入りした立花孝志と東谷(筆者撮影)

 一言で言えば、日本に安全に帰国するために王族の身分が欲しいというわけだ。東谷は日本で知人女性約40人から韓国アイドルグループのBTSに会わせると言って旅行代金などとして総額約4000万円を集めた。しかし、これを実現させずに返金もしなかったため詐欺疑惑が持たれていた。この件については前述したように東谷を支援する医師の麻生泰氏が弁済資金を貸し付けたことで被害者全員と示談が成立した。しかし、詐欺罪は必ずしも告訴を必要としない非親告罪のため警察が引き続き捜査している可能性はあったし、東谷に暴露された著名人が名誉毀損や脅迫などの疑いで被害届を出し、そちらで立件される可能性もあった。東谷はUAEで何らかの安全保障を得たいと考えていたところ、「王族になる」という案に行き着いたのだ。

 もちろん現実的には無理がある。UAEの王族はまず前提としてイスラム教徒である必要がある。そして血縁、特に父親が誰かということを非常に重視するため、父親が王族でないと王族になれない世界である。日本人女性がときどきアラブの王族に嫁入りする事例はあるが、厳密には王族の身分を与えられるわけではない。しかし東谷はそういうことも承知の上で、王族コミュニティーに入り込み、何らかの特例的な身分や地位を得たいと考えているのだ。

 王族に接触するのも普通は困難だ。アラブ諸国では「王族と繋がりがある」とまことしやかに騙り、近づいてくる人物も少なくない。しかし、東谷は周辺の人脈を生かし、実際にUAE王族と懇意にしている日本人らを介して、多くの王族との面会にすでに成功している。

「王族になりますよ。口にしないと、実現するもんも実現しないから」

 言い始めてから半年以上が過ぎたが、今も東谷はこんなふうに言い続けている。

伊藤喜之氏による「《アラブの王族になりますよ》元朝日新聞・密着記者が見たガーシーの『無垢さ』」の全文は、「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

文藝春秋

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