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 監督のマイケル・ベイと製作のジェリー・ブラッカイマーの二人は、ベイ監督のデビュー作『バッドボーイズ』(1995)、2作目の『ザ・ロック』(1996)と立て続けにヒットを飛ばし、当時のハリウッドで目覚ましい活躍を見せていたヒットメイカーコンビ。

 近年では“トランスフォーマー”シリーズを監督しているマイケル・ベイ監督の作品はとにかくド派手なアクションと爆発と爆発と爆発、そしてローアングルとスローモーションを多用した演出が特徴。その演出手法は“メイヘム(混乱)”と名前のベイを合わせて「ベイヘム(Bay-hem)」と呼ばれるほどだ。

『アルマゲドン』では計121回の爆発シーンがありオープニングのタイトルバックでさえも爆発する。そしてローアングルで撮ったベン・アフレックの歯並びが子供っぽくて気になり2万ドルかけて整形させ、「スローモーションで撮影するぞ」と言えばそのベン・アフレックから「またかよ」と言われるなど、「ベイヘム」を堪能するには持ってこいの作品である。

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 ちなみに本作完成直前にはベン・アフレックのシーンは全部カットすることも真剣に検討されていたが、『タイタニック』(1997)の大ヒットの影響でリブ・タイラーとのロマンスが急遽追加されたことで、ベン・アフレックは辛うじて本作に踏みとどまったという。

「出演するもカットされる」の繰り返し…ブルース・ウィリスという“絵になる役者”の“10年の下積み時代”

 さて、なかでも触れたいのが主演であるハリー・スタンパー役のブルース・ウィリスである。せわしなく動き続ける本作の中で、止まっていても絵になる数少ない役者が彼であった(NASAの総指揮官であるトルーマン役のビリー・ボブ・ソーントンもだが)。

主演から約20年後のブルース・ウィリス(2017年撮影)©時事通信社

『アルマゲドン』製作当初はキャストに人気スターの起用はしない方針だったというが、もしブルース・ウィリスが出演していない本作を想像してみると、さらにメイヘム(大混乱)な作品の姿しか思い浮かばない。

 ブルースは昨年3月に失語症のため俳優を引退したが(今年2月には前頭側頭型の認知症が進行していると発表された)、映画デビューしてからのブルース・ウィリスはビッグスターになっても大作から小品までさまざまな映画に出演し、主演だけでなくほんのちょっとした役までこなす名バイプレーヤ―でもあった。

 彼のフィルモグラフィを眺めればその出演作の多さに驚くだろう。『アルマゲドン』ではすでにトップスターとなっていたブルース・ウィリスはもちろん主演であり、代々石油掘削職人の家系という役柄を演じているが、後述する『ダイ・ハード』のジョン・マクレーン役や『パルプ・フィクション』のブッチ役など、労働者然としたキャラクターがとても似合う役者である。

 ブルース・ウィリスは映画『ダイ・ハード』に出演するまでは、テレビシリーズ『こちらブルームーン探偵社』でシビル・シェパード扮する社長の部下という役で人気となった(このドラマでエミー賞とゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞している)。