1998年12月に日本で公開された『アルマゲドン』は、翌年の1999年に配収83億5000万円でランキング1位の大ヒットとなった。

 映画の挿入歌としてヒットしたエアロスミスの“I Don't Want To Miss A Thing”を口ずさめる人も多いのではないだろうか。ちなみにカラオケのDAMの外国曲月間ランキングでは3月1日更改時点で同曲は11位。JOYSOUNDでも月間12位と、いまだにカラオケでも歌われ続けている名曲である。

 テキサス州と同じくらいの小惑星が時速35,000キロのスピードで地球に向かっている事がわかり、直撃すれば人類滅亡。アメリカ航空宇宙局NASAは大慌てで対策を考えるが、なんと小惑星が地球に衝突するのは18日後だとわかる。

 なぜいままでそんな大きな小惑星が見つからなかったんだ?と大統領に問い詰められるが、そんな人員も予算もありませんからと愚痴をこぼすNASAの総指揮官トルーマン(ビリー・ボブ・ソーントン)。

 そこでNASAは小惑星内部に核爆弾を埋め込み爆破して衝突ルートを逸らす計画を立案。そこで白羽の矢が立ったのは、世界一の石油掘削人であるハリー・スタンパー(ブルース・ウィリス)と愉快な仲間たち。全人類の命運を背負った彼ら掘削職人たちは迫りくる小惑星に自ら赴き、過酷なミッションに向かうのであった。

 という、映画である。

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20世紀末の大ヒット映画となった『アルマゲドン』©getty

本作の“アルマゲドン”という言葉の意味は「マジでやべえ」くらいのフィーリング

 本作ほど興行成績と作品の評価が乖離した映画もないだろう。大味なストーリー、メチャクチャな科学考証などツッコミどころは多々あり、また人類の危機に対してアメリカのリーダー性と核兵器を救済の最終手段に用いる無邪気さなど、本作を真面目に語るには少々勇気がいるのかもしれない。

 タイトルの“アルマゲドン”とは「ヨハネによる黙示録」の善と悪の最終戦争の場に言及した箇所からとられているが、作品内において聖書の参照はもちろんなく、本作における“アルマゲドン”という言葉の意味は「マジでやべえ」くらいのフィーリングである。

 しかし本稿では『アルマゲドン』の科学考証や脚本の齟齬について触れるのは本意ではない。そんなものはすでに撮影中にA・J役のベン・アフレックが「宇宙飛行士が石油採掘者になるほうが楽では?」という核心を監督のマイケル・ベイに聞いて「黙れベン」と言われているので、20年以上前の映画にツッコむのは野暮というものである。