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人の賃金や教育、研究に資金が集まらないと将来的には沈没

 しかし、実際に経済というのは老人もいて、若者もいないと回らないわけです。お金があって、将来を担う若い人に適切な教育が施され、社会をよりよくしていくための学術活動がないと社会は停滞してしまう。人手不足だという割に、企業や不動産にばかり投資が集まり、人の賃金や教育、研究に資金が集まらないのではいまの経済はそこそこ穏やかに落ち着いているように見えても将来的にはどんどん沈没していってしまうのではないか、と危機感を感じる人たちは少なくないでしょう。

2017年8月17日ニュース「論文数で日本は世界2位から4位に 複数国への特許出願数は1位維持」 | Science Portal
https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2017/08/20170817_01.html

文部科学省 科学技術・学術政策研究所「日本の科学研究力の現状と課題 抜粋」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/025/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2017/02/17/1382206-14.pdf

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 んでは、日本の大本営である政府や文部科学省が問題に気づいてないのかというと、そうでもないのです。論文数が減少していることも、質の面で課題があることも充分承知で、対策が必要だということは10年以上前から言い続けている。日本は将来の少子高齢化が問題だと80年代から言われ続けてきたのと同じように。だけど、充分な資金が集まらない、研究者に良い環境を与えられない、硬直化した大学の統治機構では世界に冠たるイノベーションを生み出す仕組みが機能しない、さまざまな問題を起こして現在に至ります。そして、いまや地方国立大学では研究者にお金が回らなくなり、研究は指揮できるけど経営は駄目すぎるスーパーコンピュータ企業「PEZY Computing社」は摘発され、部下の研究不正で適切に情報公開したはずの京都大学の山中伸弥さんは意味の分からない批判を社会から浴びました。

「資源のない日本には人という資源でやっていくしかない」

 投資家の観点から見るに、それもこれも社会の制度疲労による「何をすれば世の中が良くなるのか」「何に投資をすれば実績を挙げられそうか」という目利きの能力と、人間の頭の中の力を使うことで世の中を良くするのだというビジョン、そしてどうにかしてこの問題に取り組むのだというリーダーシップの欠如の問題です。昔、モノづくりや技術立国と言われていたころから「資源のない日本は人という資源でやっていくしかない」というコンセンサスがあったじゃないですか。でも、モノづくりはしなくなった、技術を担う大学にも投資が回らなくなった、国内で元気がいいのは不動産やコト消費を担う企業の株価だけ、というのでは、世の中が良くなるはずがないじゃないですか。

 ただ、社会保障だけは、どうにもならないところはあると思っています。だって、本当にどうにもならないんだもの。私も介護やってますが、介護そのものにまず金がかかる、介護のために仕事を辞めたり減らしたりするのだから金が入らなくなるってのは、普通の人には相当しんどい状況だと思いますよ。

「PEZY Computing」本社があるビルへ家宅捜索に入る東京地検の係官ら ©時事通信社