そして2021年7月。新型コロナ・ウイルス感染症の感染拡大を防ぐための防疫対策の徹底が声高に叫ばれていた中、NCダイノスの一部選手たちが、遠征先のホテルに女性たちを呼んで酒盛りをしていたことが発覚。さらにハンファ・イーグルス、キウム・ヒーローズの一部選手たちも参加していたことが判明し大問題に発展。彼らの中から陽性反応者が複数出たことで試合開催が難しくなり、シーズン中断という前代未聞の事態が発生したのだ。
スキャンダルだけではない韓国野球が弱くなったもう一つの“理由”
その後も8月には外国人選手の大麻摘発や一部選手のドーピングテストで禁止薬物が検出されるなどの問題も相次ぎ、その年の年間観客数は新型コロナによる入場制限もあったとはいえ122万人にまで落ち込んだ。
入場制限が解除され声出し応援も解禁になった昨年の年間観客数も600万人弱。世論調査で有名なギャラップ・コリア社が昨年春に実施した「プロ野球関心度調査」でも「プロ野球に関心がある」と答えたのは31%。20代に限ると「関心がある」と答えたのは18%にしかならなかったほどである。
飲酒運転、学校暴力、薬物問題に防疫違反まで。相次ぐ不祥事に大衆の野球熱が急激に冷めてしまったのは言うまでもないだろう。前出の『スポーツソウル』の野球班記者も言う。
「だからこそKBOとしては今回のWBCで好成績を収め、それを起爆剤に野球人気の復活を期待していたのですが、起爆剤になるどころか逆に“韓国野球のレベルの低さ”が次々と明らかになってしまった。特に日本戦は屈辱と表現するのも恥ずかしいほどレベルの差を痛感させられ、見ているだけで拷問のようでしたよ」
何が問題視されているのか。
例えば貧弱な投手層だ。今回の韓国投手陣の平均自責点は7.55。オーストラリア戦は35歳左腕のヤン・ヒョンジョンが打たれ、日本戦では先発の34歳左腕キム・グァンヒョンが4失点。その後も9人の若手投手がマウンドに上がったが、登板しては失点を繰り返した。
ここ一番がベテラン頼みで、若手は経験不足。そこに韓国プロ野球が抱える投手の人材難がある。