凋落の原因は韓国野球で頻発する“スキャンダル”にあった
そんな状況を一変させたのがWBC。2006年の第1回大会ではベスト4、2009年の第2回大会では準優勝。間に挟んだ2008年北京五輪では金メダルを獲得するなど、国際舞台での好成績に後押しされる形で空前の野球ブームが起きた。
2004年には263万人にしかならなかった年間観客数が、2006年には324万人、2009年には592万人と急増しているのだ。その後も毎年のように増え続け、2017年にはついに800万人を突破したほどだ。
まさにWBCが韓国プロ野球人気の発火点になっていたわけだが、実はこの10年近く、その人気ぶりに似つかわしくないスキャンダルが毎年のように起きているのが韓国球界でもある。
2012年には現役選手が違法スポーツ賭博の八百長に加担していたことが明るみになり、2015年には当時サムスン・ライオンズに所属していた林昌勇(元東京ヤクルト)や呉昇桓(元阪神)らがオフにマカオでギャンブルをしていた“遠征賭博”が問題になった。
2016年には本塁打王&年間MVP経験者が公然わいせつ罪で懲役8か月、2017年には現役プロ投手が性的暴行容疑で懲役2年6か月、2018年にはベテラン捕手が10代の女性に性的暴行を加えたとして懲役4年6か月、実刑判決を受ける者も出た。こうした相次ぐ不祥事に「韓国プロ野球は道徳不感症なのか」と厳しく批判されたが、2020年になるとさらに国中から総スカンを食らう不祥事が相次ぐ。
まずは飲酒運転。「走る殺人行為」とも言われる飲酒運転は韓国でも年々問題視され激しく非難される対象となっているのだが、2020年には3名、2021年には1名、2022年には2名と、毎年のように飲酒運転で摘発されるプロ野球選手が出たのだ。
2021年春には一部選手たちの過去を巡って一騒動。この時期、韓国ではスポーツ選手や芸能人の学生時代のいじめ問題がネットで暴かれる「ハクポク(学校暴力の略語)疑惑」が社会問題にもなったが、プロ野球界からも学生時代にいじめ加害者であった選手たちの実名が白日の下にさらされ、当該選手たちが釈明会見を開くまでの騒ぎになった。