3月18日午後6時10分、イギリス国営放送「BBC Two」のゴールデンタイムで放送された1時間の番組がついに日本を含めた全世界向けの「BBCワールドニュース」で放送される。タイトルは、「Predator : The Secret Scandal of J-Pop(J-POPの捕食者~秘められたスキャンダル)」。取り上げられたのは、ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年死去、享年87)によるジャニーズJr.たちへの性加害問題である。
イギリス時間3月7日に放映された番組は、日本でもSNSを中心に話題となった。また、ジャニーズがコンサートを行ってきた香港や台湾、韓国などアジアでも驚きをもって受け止められた。世界中で大きな反響があったため、全世界放映が決まったという。
「週刊文春」キャンペーン報道に対する裁判の争点
世界で初めてジャニー氏の性加害問題を取り上げたテレビ局となったBBCだが、日本ではずっと黙殺され続けてきた。
唯一、正面から取り上げたのが「週刊文春」である。
小誌は1999年10月から14週にわたってキャンペーン報道を展開。被害を受けたジュニアたちの告発をもとにジャニー氏による性的虐待の実態を明るみに出した。
キャンペーン報道が始まった直後の1999年11月、ジャニー氏と事務所は小社・文藝春秋を名誉毀損で提訴した。
裁判の争点は、主に次の9つの記述だった。
(1)ジャニー氏が、少年らが逆らえばステージの立ち位置が悪くなったり、デビューできなくなるという抗拒不能な状態にあるのに乗じ、セクハラ行為をしているとの記述
(2)ジャニー氏らが、少年らに対し、合宿所等で日常的に飲酒、喫煙をさせているとの記述
(3)ジュニア4人が万引き事件を起こしたにもかかわらず、テレビ局もジャニーズ事務所もこれを封印したとの記述
(4)ジャニーズ事務所が、フォーリーブスのメンバーに対して非道なことをしているとの記述
(5)ジャニーズ事務所に所属するタレントは冷遇されていたとの記述
(6)ジャニーズ事務所らが、少年らに対し、学校には行けないスケジュールを課しているとの記述
(7)関ジャニは、ジャニーズ事務所から、給与等の面で冷遇されているとの記述
(8)ジャニーズ事務所所属タレントのファンクラブについて、ファンを無視した運営をしているとの記述
(9)マスメディアは、ジャニーズ事務所を恐れ、追従しているとの記述