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韓国戦では目の前で3番を打つ大谷翔平投手が敬遠され、無死満塁で自分との勝負が選択された。村上にとっては生まれて初めての経験だったが、そこでも結果を残せずに遊飛に倒れ、天を仰ぐしかなかった。そしてオーストラリア戦でもまた目の前で大谷が歩かされ、自分との勝負が選択されたが、相手の策を打ち破ることはできなかった。
だが、きっかけは試合のなかった前日3月15日の練習だったという。軸足の左足にしっかりと重心を乗せて溜めた中で、自分のタイミングをとる感覚をようやく見つけることができた。結果として打撃練習では24スイングで5本の柵越えを放って、そのうち2本は東京ドームの外野スタンド上の大型ビジョン付近を直撃する特大の当たりだった。
試合前に“4番降格”を伝えられた
そんな手応えを胸に秘めた村上が、4番降格を栗山英樹監督から伝えられたのは、試合前のことだった。
「負けたら終わりで、監督の考えですから、僕らはそう動くしかないと思った」
村上は通告の瞬間をこう振り返る。
「栗山監督も色々と考えて僕にも声をかけてくれましたし、どういう打順が一番なのか考えて(の降格)だと思う。監督をそこまで悩ませてしまったということで、もっとしっかりしなければいけないなと思いました」
こだわり続けた4番という打順を奪われても、とにかく与えられた場所で結果を残すことしかない。
そう前を向いて試合に臨んだ。
“兄貴分”鈴木誠也の愛あるいじり「顔を上げて頑張れ!」
「顔を上げて頑張れ!」
そんな村上に遠く米国から激励を送ったのは、左脇腹の故障で開幕直前に出場辞退したシカゴ・カブスの鈴木誠也外野手だった。