――どちらかといえば、日常の一コマ。
ひとり そう。かぶりものしてドタバタ騒ぐような感じじゃないから、それをやらせてくれるのって今NHKぐらいしかないんでね。そういう落ち着いたコントを録らせてくれるのは。だから、ダウ90000はこの番組をすごく大事にしたほうがいいと思います。
劇団ひとりが出てきた頃の「異物感」
――ところで劇団ひとりさんはどうして「劇団」を名乗ったんでしょうか。
ひとり 僕はネタでいろんなキャラクターを演じてたんですよ。それを一応劇団員ということにして、劇団ひとり。でもまあ、結果的には響きのよさですかね。「劇団ひとり」っていうワードがパッと出てきた時に、気持ちいいゴロだなと思ってね。
――誤解を恐れずに言うと、ひとりさんがテレビに出てきた時、すごい「変な人」がやってきた! と。芸人なのか俳優なのかアーティストなのか。本気なのかふざけてるのか分からない人が出てきたと思いました。
ひとり 雰囲気出てましたよね(笑)。
――あの異物感は、戦略的にやっていたんですか?
ひとり いや、全然。もう、その場その場ですよね。本当に思いつきでやってただけで。10年後20年後どうするとか、そんなビジョンも全くないし。今日明日のライブがウケりゃそれでいいやっていうスタンスでやってました。テレビなんてどう目立つかしか考えてなかったですよ。好感度みたいなことも気にしないし、今後の仕事につなげるみたいなのも考えないわけです。その場その場で自転車操業みたいな日々ですよね。
どうせ売れねえんだろ、自分なんて
――そうだったんですね。
ひとり 投げやりっちゃ投げやりというか、ふてくされてるんですよね。「どうせ売れねえんだろ」ぐらいの。最初ってみんなそんな感じだと思いますよ。「どうせ売れねえんだろ、自分なんて」って思ってるから。だから悪ふざけじゃないけど、やけになってやってる部分もありましたよね。
――それはダウ90000にはあまり感じないところかもしれない……。
ひとり ちゃんとしてるよね。すごいなと思うよな。だって8人ぐらいいたら、和を乱して、モヒカンにしたりだとか、そういうことをしそうなやつも出てくるじゃないですか。でも誰もしないんですよね。
――ひとりさんがダウ90000の中にいたら、何かやっていたと思いますか?
ひとり 僕は……続かないでしょうね。ダウ90000って、調和が取れてないと成立しないコントだからね。誰か1人が悪目立ちするわけじゃないから。もし僕がダウ90000に入ってたら、たぶん嫌われてただろうなと思う。
――初回のタッグなのに(笑)。
ひとり だから、今日は本当にダウ90000の世界を崩さないように。蓮見君にも何度も聞きました。「これでいいかな」って。