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面白劇団系に対するアレルギー

――面白そうならやってみる。

ひとり ずっと同じことをやってると飽きちゃうしね。ちょっとずつそうやって幅を広げて、広げては狭めて、広げては狭めてって、段々と自分のいる場所を確保していくということなのかしらね。でも、こんな生意気なことを言ってるのも仕事があるうちだけですけどね。仕事がなくなったらそんなこと言っていられないから、結局「何でもやらせてください」ってなるんだけど。まあ、余裕があるうちはそういうことも言わせてもらおうかなっていう感じです。

――ひとりさんから見て、ダウ90000の蓮見翔とはどういう人だと思いますか。

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ひとり すごい好青年だもん。腰も低くてね。僕、面白劇団系に対してのアレルギーじゃないけど、最初ちょっと構えちゃうところがあるんですよ。でもバラエティで一緒になった時に「バラエティとかやったことないんですけど、お願いします」って蓮見くんが。それで心つかまれちゃって(笑)。

「劇団90001」の収録風景。前列が蓮見翔さん(NHK提供)

――簡単に(笑)。

ひとり おじさんはそうよ。「なんて低姿勢な。かわいいやつだな」なんて思うからね。やっぱり初対面の時のあいさつって大事だなと思った。僕、あれできてなかったですもん。ほんとにいろんな人に言われるの。「お前、初めて会った時すげえ生意気だったんだぞ」って。つっけんどんで、愛想笑いもしないで、頭も下げてるんだか下げてないんだか分からないぐらいの角度で「お願いします」とかってやってた。あれはやっぱり嫌われてたみたい。

「若気の至り」は何も得しない

――若気とはそういうものですよね……。

ひとり 今思えば、あれでやりづらくなってる部分もあったと思うんだよね。やっぱり楽屋に行って「何もできないんですけど、すいません、お願いします」とかって言ったら、やっぱり周りは変わるよね。人だからね。それやって損はないもんね。

――それが90年代の芸人界という感じもします。

ひとり そう。でも、それは何も得しないよね。あれは本当に若気の至りなんです。頭なんて下げてもタダなんだしね。何も悪いことないの。心なんて込めなくたっていいんだから。愛想笑いして「どうも、お願いします」って言うだけで、自分がやりやすくなるのにね。なんで若い時はあれができなかったのかなと思いますけどね。

――全国のフレッシャーズに聞いてほしい話。

ひとり ほんとそうよ。こんな安いものないんだから。いやわかんないな蓮見くん、好青年で、育ちよさそうに見えて、裏でメンバーにめっちゃ厳しいとかあるかもしれないけどね(笑)。

 

撮影=榎本麻美/文藝春秋

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