50人分の氏名、住所が並んでおり、Aさんの名前もある。名前の上に横線が引かれ、手書きで「再 紛失 ¥1,000」と記されている。まさに当時のAさんの状況を示していた。4段下には、「再 満らん ¥0」との記述も。これは、転居や氏名変更で追記欄がいっぱいとなった事による再発行で、手数料は0円ということだろう。その他、「転居」「更新」など書かれていた。
マイナンバー制度は、添付書類の削減といったペーパーレスをうたっているが、その管理はアナログだったようだ。Aさんが続ける。
「こんな重要な書類が紛れ込んでいることに、職員はその場で気づかなかったのでしょうか。すぐに役所に返却しようとしましたが、何事もなくうやむやにされる可能性を心配しました。マイナンバーは国の重要な制度です。自分の名前が書かれた書類でもあり、再発防止のためにきちんと問題提起しようと思ったのです」
自身も情報を扱うアルバイトを経験し、個人情報の流出に関して学んでいたため、ひと一倍この問題に関心を持ってきたのだという。
Aさんは総務省のマイナンバー総合フリーダイヤルに連絡。事情を説明し、調査や再発防止策を講じるなどしかるべき対応を取って欲しいと訴えた。しかし対応した女性は「こちらではわからないので区役所に連絡してください」と言い、相手にされなかったという。河野太郎デジタル相のツイッターに書き込んだが反応はなかった。
区役所にも連絡したものの「あせるでもなく戸籍住民課庶務係から詳細を教えてほしいとだけ返信がきました」(Aさん)。事の重大さをわかってもらえてないと憤りを持ったという。
小誌の取材に「あってはならないミスです」
小誌が、Aさんから聞き取りを行い、3月20日、8時半過ぎに練馬区役所に事実確認を申し入れたところ、「こちらに情報がないので、取材対応はできません」と回答した。
改めて、20日9時30分過ぎに、区役所のHPのメールフォームから詳細な内容を書いて送信したところ、夕方の3時半過ぎになって練馬区役所広聴広報課はこう回答した。