「#そろそろ打てや村上って言ってください」――。
全勝で1次ラウンド1位通過を決めた際に、自身のインスタグラムに投稿された村上宗隆のハッシュタグだ。この投稿はすぐにネットニュースとして配信され、「#そろそろ打てや村上」はツイッターのトレンドワードとなった。
「周りの気遣い? すごく嫌でしたね」
日本中がWBCで盛り上がりを見せている中、三番・大谷翔平、五番・吉田正尚と2人のメジャーリーガーに挟まれた「四番・村上宗隆」が不振にあえいでいた。1次ラウンド4戦を終えて14打数2安打、打率1割4分3厘、2打点。5つの四球を選んでいるものの、ホームランは1本もない。ヤフーで「村上」と検索すると、「打てない」「不調」と予測ワードが出てくる非常事態となっていた。
いずれも、これまでの村上には信じられないことだった。大会初ヒットは3試合目となったチェコ戦の第5打席のライト前への一打。この日の試合後、「WBC初ヒット」の感想を求められた村上は、次のようなコメントを残している。
「長かったですね。周りの気遣い? すごく嫌でしたね。なかなかチームでも味わうことないですし。逆に“打てよ!”って言われた方がラクでした」
先に紹介したハッシュタグでは、自ら「そろそろ打てや」と言い、このコメントでは「逆に“打てよ!”って言われた方がラク」と口にしている。周囲から気遣いをされたり、腫れ物に触るように扱われたりすることが好きではないのだろう。
「押し潰すぐらいプレッシャーをかけてもらいたい」
そう言えば昨年、シーズン55号を放ってから、なかなか56本目が打てなかったことがあった。セ・リーグ優勝を決めた祝勝会見において、「記録への重圧」を尋ねられた村上は、こんなことも言っていた。
「まだ終わっていないので、もっともっとプレッシャーかけて、押し潰すぐらいプレッシャーをかけてもらいたい」
自らにプレッシャーを与えて自分を追い込むことで、それを力に変える。それが、村上の生き方なのだろう。