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「僕と一緒にクビになった一平くんは……」初代パートナー岡島秀樹が明かす“世界一の通訳・水原一平”が誕生した瞬間

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水原氏のサポートが再起をアシスト

 自主トレ中は連日のように食事をともにした、岡島氏と水原氏。店の手配などは水原氏が引き受けた。そして、自主トレ中の水原氏のサポートが、岡島氏の再起をアシストすることになる。

「一平くんは、いまでは大谷選手のキャッチボールの相手もしていますが、当時は野球が上手くなかったんです。そもそも、トレーニングにも、彼がやっていたというバスケの格好で来ましたからね。靴もバスケのシューズでしたし(笑)。だから、キャッチボールは他の練習パートナーにお願いして、一平くんには動画の撮影をお願いしました。その動画をブログにアップしたら、日本のソフトバンクの関係者がそれを見ていて、声をかけてくれたんです」

公私にわたり大谷をサポート ©共同通信社

 こうして2012年3月、ソフトバンクが岡島氏の獲得を発表したのだ。

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 同年、水原氏も日本ハムの通訳の募集に応募し、合格して入団。その後、岡島氏が偶然、野球中継に映る水原氏に気付いたことで、再会を果たしたという。

「日ハムの関係者に聞いたら『あの水原くんだ』とのことだったので、後日、挨拶に行きました。『あのときは大変だったよね、ごめんね。(就職できて)よかったね』と」

メジャーリーガーの通訳に求められる仕事

 そもそもメジャーリーガーの通訳は、どのような仕事をするのか。

「通訳業以外にまず求められるのは、ボディーガードの役割です。米国は銃社会ですし、土地によっては近寄らない方が良いエリアもある。そういう情報を把握していて、トラブルから守ってくれるのが通訳さんなんです」

 飲食店情報も大事なのだという。

「『ランチで日本食が食べたい』と選手が言えば、通訳さんがお店を手配してくれます。知らない街に行くときは、通訳さんがあらかじめ、他の日本人メジャー選手やメディアの人に、美味しいお店を教えてもらっておくんです」