さっきも触れたが、ウクライナは官僚主義と汚職がはびこるお国柄である。日本人義勇兵らは敵と戦う前に、そんなウクライナの官僚主義とも戦わざるをえなかったのである。
新郎はウクライナ軍入隊後はいくつかの部隊を異動したのち、南部の教育部隊でインストラクター(教官)として落ち着いて、さらに後、前線の外国人混成部隊に合流した。そこは指呼の間に敵の立ちはだかる最前線でもあり、現に日本人義勇兵も一人「戦死」している。
外国人義勇兵がウクライナで戦う理由
そこに至る前のインストラクター時代に軍務上付き合いのあった新婦の父親を通じ新婦とめぐり合い、双方の強い希望が叶い、オデーサでの結婚に至ったのである。
「なぜに平和な日本を飛び出し、ウクライナに来てまで戦うのか、しかも命を賭して」
「危険のわりに決して高くない給料、義勇兵のため戦死しても充分な恩給も期待できない。なのになぜ?」
こう問われ、外国人義勇兵の答えもさまざまであろう。
「自分の実力を実戦で確かめたい」
「野蛮な大国の侵略者に立ち向かうウクライナの民をお助けしたい」
「ロシア軍の蛮行を見て義憤にかられ」
命を懸けて戦っている日本人義勇兵にせめてねぎらいの言葉を
しかし、新郎はハッキリとした戦う目的を見出したのである。単純だが崇高である。「家族を守るために」である。結婚のため与えられた3日間の休暇があっという間に終わり新郎は新妻を残し、部隊に帰っていった。新妻は「誇りに思う。ずっと支えつづけていく」と言って日本人の義勇兵を送り出した。武運長久ならんことを、そして2人の末長き幸せを祈りたい。
我らが岸田首相もようやくウクライナにお入りになったそうやな。表立った支援もできん日本国に代わり、ウクライナのため命を懸けて戦っている尊い志を持った日本人義勇兵には、せめてねぎらいの言葉くらいかけなあかんで。
(なお2人の安全上の理由から写真の一部を加工し、経歴も故意にあいまいにしてある部分がございます。美人な新妻のお顔を加工するのは写真家として断腸の思いであるが、これも2人の安全のため。ウクライナは今も全土戦時下であり、新郎は現役の軍人でありますゆえ、ご理解願いたい)