偽札パパことX氏を直撃すると…
こうした「偽札パパ」ことX氏の行為は法的に問題はないのだろうか。パパ活問題に詳しい高島総合法律事務所の理崎智英弁護士が語る。
「パパ活は言い換えれば私的な売買春です。SNSなど公の場で、1回いくらと募集をかけること自体、売春防止法に違反し刑罰に処せられる可能性があります。そもそも、性行為の対価として金銭を受け渡しするという契約は、善良な風俗に反するので無効とみなされます。パパ活の対価が支払われないという理由で、被害女性が男性を契約違反で訴えるのは難しいでしょう。
しかしながらそれは民事上の話で、金銭の授受が行われなかったことを理由に刑事責任を認める判例も過去に出たことはあります。民法上無効の金銭の受け渡し契約であっても、その契約の不履行が社会秩序を乱すという点で『詐欺罪』が成立すると裁判所が認めたケースもあります。その場合、刑事罰を問われる可能性は否定できません」
X氏はどう答えるか。文春オンライン特集班は、都内某所でX氏を直撃した。
――文春オンラインです。パパ活をやっている女性がXさんに偽札を掴まされたとSNSなどで訴えている件を取材しています。
「弁護士に任せてますので」
――被害を訴える声は間違っているということですか?
「もちろんです。そんなことしてたら、僕、シャバにはいられないでしょう。そこは天地神明に誓って間違いありません。誹謗中傷があまりにひどいんで、弁護士を選任してお任せしてるんです」
女性たちの告発について問うと、X氏は身に覚えのないことと、当初は事実を全面的に否定。弁護士とやり取りしてくれと頑なな態度を崩さない。
だが、記者とやり取りを続けるうちにだんだんとX氏の様子が変わってきた。
――では、Xさんは女性たちの被害の訴えをすべて否定なさると。それが世間へ言いたいことという認識でいいでしょうか?
「……正直に言うと、そういうトラブルは過去にありました。お話ししていて、本当に反省しようと思いました」
――反省というと?
「もうSNSで女性と出会ったりすることはしません」
――偽札を使って女性を騙していたという認識で間違いないでしょうか?
「偽札は使っていないですよ」
ーー偽札というか、そういった類のおもちゃのお金を使ったと?
「まあ、はい」
X氏は最終的におもちゃのお金を使ったことを認め、反省の意を示したのだった。
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コロナ禍が明けはじめ、人と人との接触が再び盛んになるにつれ、パパ活の市場もまた再拡大を始めている。それに伴い、パパ活をめぐるトラブルも増加の一途だ。
昨年冬には、池袋のホテルで82歳の男性が20代女性との“パパ活”中に刃物で刺されて死亡する事件まで起きてしまった。
今回の「偽札パパ」事件も、数多ある「パパ活」を巡るトラブルの一つに過ぎないだろう。第2、第3の「偽札パパ」が現れる日もそう遠くないかもしれない。