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東大野球部のキャプテンが痛感した「チームの甘さ」とは…他の強豪校と「人生の賭け方が違う」《東京六大学野球》

東大野球部のキャプテンが痛感した「チームの甘さ」とは…他の強豪校と「人生の賭け方が違う」《東京六大学野球》

『東大野球部には「野球脳」がない。 最下位チームの新・戦略論!』#1

2023/04/08

source : 文藝出版局

genre : エンタメ, スポーツ, 教育

note

松岡 学校の成績は、取りましたね。授業をしっかり聞いて。定期試験の前は1週間部活禁止になるんで、勉強するしかない。その1週間は必死に勉強するんですけど、一夜漬けなので定着しません。模試の成績は悪くて。

――高校野球はどうでしたか。

松岡 強豪校ではなかったですけど、僕たちのときは弱くなかったですよ。1年のときはベスト32。2年生のときも1回は勝ちました。

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 3年夏の大会は、地区予選の3回戦。1対1の投手戦で、8回裏にエースが足をつっちゃって、僕がマウンドに立ちました。そのあとの記憶がない。延長12回に、ワンナウト二塁から、外角のストレートをレフトに打たれて……。ホームのカバーに行くまで、スローモーションみたいに感じました。あのときに僕の高校野球は終わりましたけど、ここまでの野球人生で、一番楽しい試合でした。

「中高6年間、勉強の方が楽でしたね」

――松岡さんの高校時代は、野球と勉強が両輪だったわけじゃなくて、野球に一途だったんですね。夏の大会が終わって、受験態勢に入るわけですが、東大に入るための勉強は大変でしたか。

松岡 大変だったような気がするんですけど、中高6年間、野田先生がとにかく厳しかったんですよ。勉強のほうが楽でしたね。

 野球やってたときって、朝4時半に起きるんです。朝練があって、開門と同時に学校に入ります。授業を3時半まで受けて、7時半ぐらいまで練習、そこからミーティング。家に9時に帰って、メシ食って、風呂入って、ユニフォームをゴシゴシ洗濯するじゃないですか。グローブとスパイク磨いて、ちょっとバット振ったら、夜の12時になるんですよ。翌日の宿題が残っているじゃないですか。4時間は寝たいんで、宿題を30分でガーッと(笑)。

――すごいスケジュールですね。

松岡 精神的におかしくなるんです。また学校行って、野球では野田先生に怒られる。勉強ってメッチャ楽で、学校に8時半に行けばいいじゃないですか。起きるのは7時半でいい。そこから学校行って、授業を受けて、塾とか行って、帰ってくるのは11時とかでしたけど、次の7時半に起きればいいんで、6時間半も眠れます。「この打席で打たなかったら、次の試合は使わないぞ」とか、すごいプレッシャーを受けることもない。自分のために勉強すればいい。

 野球ではチームが負けたら、応援してくれる人に迷惑かけるし、学校にも迷惑かける。チームメイトにも、その親にも迷惑かけるじゃないですか。自分の成績が落ちようが、迷惑かけるのは、自分と親なんで。