普通トラック市場で国内第3位の三菱ふそうトラック・バスが、外資系部品メーカーとの交渉が不調に終わり、重要部品の供給が減ったため、1週間で数百台の生産ロスが生じている可能性があることが、「週刊文春」の取材でわかった。 

外資メーカーが「値上げ」と「供給保証」を要求

 三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)は、いすゞ自動車、日野自動車の2社に次ぐ業界3位の販売台数を誇る大手トラックメーカーだ。

三菱ふそうトラック・バスは、業界3位の販売台数を誇る大手トラックメーカー(同社のHPより)

 ことの発端は、昨年8月にさかのぼる。国内で販売されている大型、中型、小型トラックのほぼすべてが使用している油圧製の『ステアリングギア』(ハンドル操作に関わる部品)を製造する部品メーカーから、値上げが打診されたという。

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「これを製造していた『クノールブレムゼステアリングシステムジャパン』(以下、クノール社)が、取引先に対し値上げを要求。ある会社では、25%もの上げ幅を伝えてきたと業界では噂されています」(大手メーカー関係者) 

クノールブレムゼの本社 編集部撮影

 中でも厳しい交渉を強いられたのが、三菱ふそうだった。

「今年3月上旬の金曜、ドイツ人幹部ら2名が三菱ふそうを訪ねる形で交渉が行われた。クノール社は従わなければ供給制限をかけると主張し、さらに、他のサプライヤーへの転注(乗り換え)を防ぐため、2030年まで買い続けるよう、供給保証も求めていたそうです」(同前)