攻撃の上積みをしていかないといけないが…
――試合後、選手からは「やろうとしていることは間違ってない」という言葉がけっこう多かったですが、選手サイドから見た真意はどういうことですか。
城 まだまだできていないし、このままじゃいけないということですね。選手は、やっていることを否定できないので、そういう言い方になるんだと思う。やっぱり海外でやっている選手と監督との間には、まだまだ溝というか、考え方に異なるものがあると思うんです。それは、これから選手と監督で話し合いをしたり、詰めていかないといけないですね。
正直、選手たちは、もどかしく感じていると思いますよ。カタールW杯後、「この戦いじゃ上にはいけない。攻撃の上積みをしていかないといけない」ということを、みんな言っていたじゃないですか。そのスタートとなる今回、どうなったのかというと何も積み上げていない感じになっていますからね。
カタールW杯よりも弱くなっている?
――試合後、スタンドからはカタールW杯よりも弱くなっているという声が聞こえてきました。
城 カタールW杯の時は、完成したチームでしたからね。だから、結果を残せたと思うけど、今は麻也(吉田)とか長友(佑都)が抜けて、新しい選手がたくさん入ってきている状態。スタメンもコロンビア戦でいえば、昨年のドイツ戦から8名も入れ替えています。これじゃあ弱くなるのは当然だと思いますよ。
でも、そこに森保さんの意図やこれからの方向性が見えれば問題はないんです。でも、それが見えないから、ファンやサポーターからしたら「負けたじゃん、結局ダメじゃん」と思えてしまう。
――カタールW杯での状態が100%だとしたら、今の状態はどのくらいですか。
城 50%ぐらいですね。ドイツ、スペインに勝って、チームの完成度の高さを示したけど、今は選手を試していることもあり、マイナスからのスタート。
森保さんの続投だから、これまでのベースがあった上に積み上げをしていくから、スムーズに進化するだろうと思いがちですけど、メンバーが変われば普通に戦力ダウンします。新しい選手が入ることでプラスの効果もあると思うけど、いきなりプラスになるわけじゃない。
攻撃の構築と選手の発掘は始まったばかり
――もう少し長い目でみていくべきということですか。
城 今回、新しい選手をある程度使ったという部分は、評価はできると思うんです。ベースになる選手は決めているだろうから、そことの組み合わせを試合でどんどん試して、選手にチャレンジする機会を与えていってチームを作って行けばいいんじゃないかなと思いますね。
解任だとか騒いでいる声もあるけど、攻撃の構築と選手の発掘はまだ始まったばかり。名波(浩)コーチや前田(遼一)コーチが入ってきた効果ももう少ししたら出てくるはずなので、そうしたらチームもパワーアップできると思います。でも、1年ぐらい経過して、それが見られない場合は解任を叫ぶ声がもっと大きくなるでしょう。6月の試合では、もっと大胆な選手起用と戦術的な違いを見せてほしいですね。
取材・文=佐藤俊