二塁中野&ショート小幡がアウトを量産する

 2023年は3連勝で開幕。私の文春野球・今季一発目は、この3試合で膨らむだけ膨らんだ今季への期待を書き連ねます。たった3試合で浮かれポンチになるのもどうかと思いますが、なっちまったものは仕方ないのでお許しください。

 まずは「守備力向上」、ことに二遊間の変革です。開幕戦の初回、二塁左を襲った林のゴロに、中野は逆シングルで難なく追いつき、逆方向へ流れながらのジャンピングスローで一塁アウトにしました。この1プレーで、阪神がライバルチームに負けない二塁守備力を持ったと証明できました。

 セ・リーグのベストナインに選ばれ、日本代表でもショートを守った中野を、岡田監督は「肩が弱いから」と二塁に移しました。確かに中野のショート守備位置は他球団の強肩自慢と比べると浅めでしたが、「肩が弱い」は言いすぎ。

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 岡田監督自身、強肩二塁だったのが誇りなのですから、「肩が弱いから二塁」は、おとなしい中野を発奮させるための「腹芸」だと思います。きっと中野は、二塁で意地のプレーを見せてくれるでしょう。

中野拓夢 ©時事通信社

ポジション固定と集中力アップで守備は向上

 同じく開幕戦4回表、先頭佐野の頭を越えそうなライナーを、ショート小幡がドンピシャのタイミングでジャンピングキャッチしました。強肩小幡の守備位置は深く、184センチの長身もあり、頭越しのヒットコースをかなり消すでしょう。

 また第3戦の7回表には、宮﨑のセンターフェンス直撃の二塁打で見事な中継プレーがありました。近本からの返球を受けた小幡が強肩発動、深い位置からのワンバウンド送球で一塁走者佐野を本塁タッチアウトにしました。

 木浪との激しい競争に勝ってショートレギュラーを掴んだ小幡は、打席でも急激な成長を見せています。今季は中野・小幡の二遊間でアウトを量産してくれるでしょう。

 外野守備でもスーパープレーがありました。開幕戦7回一死、関根の大飛球を板山が背走し、最後はフェンスに向かってスライディングしながら後ろ向きでキャッチ。浅い守備位置で前のヒットゾーンを消しつつ、背後の打球にも追いつく瞬時の判断と走力、そして球際の強さが出色でした。

 板山は、惜しくも開幕スタメンから漏れましたが、オープン戦の間ずっとレベルの高いポジション争いを続けてきました。他のポジションも同様で、競争による高い集中と、昨秋からポジションを固定して取り組ませたことが功を奏しています。

 3試合で30イニング守って、失策は佐藤輝の悪送球1つ。課題だった投内連携では、バントを併殺にする加治屋の好プレーもあり、守備は進歩の跡を見せています。