Q 習近平の「仲裁役」路線、中東での功績は…?
中国が仲裁役となり、断交していたサウジアラビアとイランが外交関係正常化へと至ることになりました。印象論ですが、中東では宗教などをめぐる対立が根深く、国や民族同士のコンフリクトがこのような“着地”をむかえることがなかなかなかったようにおもうのですが、なぜ中国はこの両国を仲裁することができたのでしょうか。(50代・男性・公務員)
A 両国にとって都合が良かった面があります
中国の「内政不干渉」の方針が、両国にとって都合の良かった面があります。アメリカはイランのイスラム原理主義政権による国民抑圧を非難し、国交が断絶したままです。その点、中国は「反米」の立場のイランに以前から接近していました。
一方、サウジアラビアも国民に自由がない独裁政権ですが、アメリカは石油を買い、武器を買ってもらう立場からサウジを批判できないでいました。ところが、アメリカ国内でシェールオイルが採取できるようになり、中東からの石油に頼らないで済むようになった結果、サウジの人権侵害を批判する政治的動きが高まり、これがサウジの皇太子をイラつかせていました。
イランはイスラム教シーア派の大国で、サウジはスンニ派の大国。宗教上は対立することが多く、中東ではシリアやイエメンで両国の代理戦争のような状態が続いてきました。お互いの関係を改善することで、さまざまな紛争を沈静化しようという思いがあるのでしょう。
またサウジは、アメリカのバイデン政権が冷たい態度を取るようになったことに不快感を持っています。これ見よがしに中国に和解の花を持たせることで、実はアメリカに振り向いてもらいたいという思いを持っているように思えます。