Q ゼレンスキー大統領への岸田首相の「しゃもじ」贈呈問題、なぜおこってしまったのか?
ウクライナ電撃訪問を行った岸田首相が、ゼレンスキー大統領に「必勝」を祈願して地元・広島は宮島のしゃもじを贈っていたことが話題になっています。身近に広島出身の人がいるので、甲子園出場校などに贈られたり応援で使われるのは知っているのですが、純粋に流石にちょっとズレている気がします。
これまでも時々の首相が自分の地元の「名産」を国際政治の舞台で贈ることはありましたが、これまでこうしたトラブルは起こったことがあったのでしょうか?(40代・女性・アルバイト)
A 「東洋の神秘か」と思われてしまったのではないかと危惧しています
しゃもじというと、どうしても甲子園での広島県勢の応援グッズに見えてしまいますが、岸田首相の思いは、「ロシアに勝て」という趣旨だったのでしょう。というのも、そもそも広島のしゃもじは、日露戦争の際、ロシア軍と戦う日本軍が宮島に参拝して「敵を召し取る」という願いを込めて奉納した故事があるからです。
でも、どうして広島に軍隊が? と不思議に思う人がいるでしょうね。当時の広島は日清戦争や日露戦争で戦うために大陸に向かって船で出撃する基地だったのです。いわゆる「軍都」ですね。だから太平洋戦争中に原爆投下の標的になりました。
岸田首相は、おそらくそんな故事を説明して、「ロシアに勝ってくれ」と激励したのでしょう。
しかし、ゼレンスキー大統領に「飯取れ=召し取れ=勝て」という日本語のニュアンスが届いたのか、どうか。「木の板に願いを込めるという東洋の神秘か」と思われてしまったのではないかと危惧しています。