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「(自身を副社長に据えることが)協力の仕方の証だとは思いますよね。航空局側から見れば」

昇格は「バックにいる人たち」の意向があると強調

 国交省の意向をちらつかせる山口氏。それでも空港施設側が、代表取締役就任を少なくとも1年間は見送りたい意向を伝えると、山口氏はこう反論した。

「単純に申し上げると、この1年はという議論はない。優先順位が高いと申し上げている通りで。両方が無理というなら高橋さん(註・高橋朋敬相談役)外して下さい。それはハッキリしている。それはバックにいる人たちがどう思っているかということなので。それをおかしいと言われても私自身は答えようがないんです。私自身の考えじゃないんでそこは理解頂きたいんです」

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 高橋氏とは、国交省のOBで空港施設の元社長だ。当時は相談役に退いていたが、山口氏は自身に加え、高橋氏の取締役復帰も求めていた。だが、空港施設側が難色を示すと、自身の昇格を優先するよう要求。その背景には、「バックにいる人たち」の意向があると強調したのだ。これに対し、前出の役員の一人が「人事権への介入」と指摘する。 

「だから私自身の考えじゃなかったら、航空局のどこから、どこから、そういうのがあって、それは本当に具体的にあるんであれば人事権への介入じゃないですか」

代表取締役副社長に就任後、新たな要求が

 だが、山口氏は譲らなかった。

「それを言い出すと物事は何も決まらない。だって、エアラインさんは『大丈夫ですか?』と聞かれる。『大丈夫です』と私が思っていてもダメなんで、私は然るべきところに聞かざるを得ない。それは抜きにできないんですよ、その話は。介入だと言ったって、気にされている以上は、答えを出さなければいけないので、そこがこの会社の特殊なところだと思うし、避けて通れないんです」

 同社の関係者が言う。

「山口氏は『バックにいる人たち』や『然るべきところ』という表現で、自身の副社長昇格には国交省の意向が背後にあることを繰り返し主張していました。『それは抜きにできない』とまで言い切った。確かに、航空行政を所管する国交省は航空業界に大きな影響力を持っている。しかし、航空施設は東証プライム上場の民間企業です。企業ガバナンスの観点からも、国交省の言いなりになるわけにはいきません。それでも、山口氏は主張を曲げず、結局、翌6月の取締役会で正式に代表取締役副社長に就任しました。さらに昨年末には、国交省元事務次官の本田氏がその山口氏を社長にするよう要求してきたのです」