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「バックにいる人たちがどう思うか」 空港施設トップ"天下り人事"国交省OBの「圧力音声」入手

「バックにいる人たちがどう思うか」 空港施設トップ"天下り人事"国交省OBの「圧力音声」入手

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 国土交通省のOBが、東証プライム上場の「空港施設」(東京都大田区)のトップ人事に介入していたとされる問題。国交省OBで、副社長の山口勝弘氏(63=4月3日に辞任)が取締役時代、自身を代表取締役にするよう要求する際、その理由として国交省の意向をちらつかせる発言を複数回していたことが、「週刊文春」が入手した音声データでわかった。その後、山口氏は代表取締役に昇格していた。国交省は今回の一連の人事を巡り、組織としての関与を否定しているが、音声データの山口氏の発言と矛盾しており、今後、国交省の関与について説明が求められることになりそうだ。

国交省が入る中央合同庁舎3号館 ©時事通信社

空港施設は山口氏の辞任を発表

 空港施設は、羽田空港など各地の空港で施設運営を手掛ける上場企業だ。同社を巡っては、朝日新聞が3月30日付朝刊で、国交省元事務次官の本田勝・東京メトロ会長(69)が昨年12月、副社長の山口氏を社長にするよう求めていた問題を報道。さらに同紙は4月2日付朝刊でも、その山口氏が2021年5月の会議で、国交省側の意向だとして代表権のあるポストを要求していた問題を報じていた。

空港施設のHP

 4月3日午後3時半、山口氏は「週刊文春」の取材に「先ほど社長に辞意を表明した」と明かし、その約2時間後、空港施設は山口氏の辞任を発表。翌4月4日には、斉藤鉄夫国交相が閣議後会見で、本田氏が国交省の調査に対し、空港施設の人事に介入するような発言をしていたと認めたことを明らかにした。

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 しかし、国交省人事課は一連の人事に関して「省として関与していない」としてきた。実態はどうだったのか。

役員からの強い反発の声に対して、山口氏の言及は…

 今回、「週刊文春」が入手したのは、当時、役員だった山口氏をはじめ、空港施設の取締役8名が出席した2021年5月31日夜に行われた会議の音声(「週刊文春 電子版」で公開中)だ。当時、主な議題はトップ人事。中でも紛糾したのは、副社長人事についてだった。

 山口氏は自身を副社長に据えるよう重ねて主張した。

「(副社長就任は)私からの自薦と言いますか、意見でありまして」

 役員の一人からは「この会社は国交省の会社だと言われているように聞こえる」などと強い反発の声も出たが、山口氏は、空港施設が羽田で国有地を借りていることに言及し、次のように述べた。