監視カメラの映像をウィシュマさん側の弁護団から入手
2021年5月、ウィシュマさんの遺族が来日し、出入国在留管理庁に、真相を明らかにするよう要望。入管は8月に報告書を公表した。だが「死亡に至った具体的な経過を特定することは困難」と、責任の所在は曖昧にしたままだった。
2022年3月、ウィシュマさんの遺族が国を相手取って損害賠償を求め、名古屋地方裁判所に提訴。この裁判の中で、国が証拠として提出したのが、ウィシュマさんが亡くなる直前の13日間に撮影された監視カメラの映像だ。全部で295時間あるうちのごく一部、約5時間分が、マスキング措置を講じた上で地裁に出されたのである。
今回、その監視カメラの映像をウィシュマさん側の弁護団から入手。入管施設で一体、彼女に何が起きていたのかを広く知って貰うため、遺族の了解も得て、公開する。
映像はウィシュマさんが収容されていた部屋を、真上から撮影したもの。彼女と、部屋で介助をする職員や看護師の姿が写っている。職員や看護師の顔にはモザイクがかけられている。
動画は分割されており、全部で41。短いもので3~4分、長いものは14~15分はある。
亡くなる前日に職員と看護師が不適切な内容で談笑
印象的なのが、何度も「病院へ連れて行って欲しい」と懇願するウィシュマさんの姿が映っていることだ。
例えば2月23日の19時34分過ぎのこと。
ウィシュマさん 担当さん、アネー(シンハラ語で命乞いをする際に使う)、長い時間食べてない、長い時間寝てない。1カ月。1週間。
職員 あー分かった。病院に行けるように、ボスにお話しするけれど、今日行けるかどうか分からないから。
ウィシュマさん 担当さん。いまやってあげて。
職員 連れて行ってあげたいけど、私、パワー無いから、権力無いからさ。出来ないんだよ。