政府が、高い安全性をうたうマイナンバーカード(以下マイナカード)。松野博一官房長官は、「マイナンバーカードは、オンラインでも確実な本人確認ができる安全安心なデジタル社会のパスポートだ」と語り、保険証利用、運転免許証との一体化など積極的な活用を進めている。

 だが、東京都の練馬区役所が誤って、マイナカード再発行者50人の住所、氏名などを利用者に手渡して流出させていたことが、「週刊文春」の取材でわかった。練馬区は「深くお詫び申し上げます。事故の発生を重く受け止め、再発防止に向けて取り組んでまいります」としている。

広報パンフレットともに手渡された〈カード発行一覧表〉

 政府の個人情報保護委員会の2021年度年次報告によれば、情報漏洩などのマイナンバー法違反、または違反の恐れがある事案が、1年の間に111機関、170件あった。ただし「いずれもマイナンバーが悪用されたとの報告は受けていない」と記している。

ADVERTISEMENT

「もし私が、何かに悪用しようと思えばできました……大事な個人情報を預かる役所がこの程度の情報管理しかしていないのかと驚いています」

 そう語るのは、練馬区在住の20代男性のAさんだ。

 Aさんは昨年末にマイナカードを紛失したため、今年1月、再発行の手続きを練馬区内の区民事務所で行った。カードの受け取りのため、3月15日、同事務所を再度訪れたときに問題は起こった。

※写真はイメージです

 発券機で整理券を受け取ると、やがて職員に呼ばれ、用紙に名前、電話番号を記入し、本人確認のため運転免許証を提示。「マイナンバーカード利用のご案内」「マイナポイント」の広報パンフレットを渡され、少し待つように言われた。Aさんはそれらの書類をバッグに入れた。数分後、パソコンのあるブースに呼ばれ、マイナカードのパスワードを入力。その場でマイナカードの交付を受けた。再交付手数料など1000円を支払って手続きは終了。滞在時間は20分ほどだったという。

 異変に気付いたのは、帰宅したあとのことだ。そこには広報パンフレット以外に見慣れないA4の紙が1枚、紛れ込んでいたのである。

広報パンフレットとともに手渡された「カード発行一覧表」

〈カード発行一覧表〉――。