国内最大の暴力団「6代目山口組」が2015年8月に分裂し、離脱した「神戸山口組」との対立抗争は今夏で10年となる。
警察庁は毎年末時点で把握した全国の暴力団の組織編制や構成員などの統計データを取りまとめ翌年春に公表しているが、事前に入手した2024年末時点の最新データでは、6代目山口組が約3300人に対して神戸山口組は約120人にまで減少。最新勢力図は27対1と大きな差が開いていることが判明した。
抗争が始まった2015年時点では、6代目山口組の構成員数は約6000人、神戸山口組は約2800人。勢力差はほぼ2対1だった。
敵対する相手の殺害や、移籍をめぐるトラブルなども含め数十人の死傷者が出ているが、すでに大勢は決しているとみられている。それでも、抗争が再燃する可能性もあり警察当局は警戒を続けている。
「トップを狙った対立抗争事件ではないか」
今年1月19日夕、神戸市の住宅で火災が発生した。「爆発音がして、炎とともに白煙が上がっている」と周囲は一時騒然としたが、消防による活動で敷地内の車や物置などが焼けただけで大きな被害は免れた。しかし現場が神戸山口組組長・井上邦雄の自宅だったことから、そのニュースは一瞬で界隈を駆け巡った。
「トップを狙った対立抗争事件ではないか」と、暴力団犯罪を専門に捜査するマル暴刑事と暴力団社会の双方が色めき立ったのだ。
多くの関係者の懸念はその通りとなった。火災の原因は失火などではなく、敷地内に侵入した男が火炎瓶を投げつけたことによる放火。男は駆けつけた警察官にも拳銃を向けたため、公務執行妨害の現行犯で逮捕された。身元は6代目山口組系の元組員だった。