2019年に合計特殊出生率が2.95となり、少子化対策の「奇跡の町」として注目されている岡山県奈義町で、2022年度の1年間に町役場の職員89人のうち10人が中途退職していたことが「週刊文春」の取材でわかった。複数の職員の証言によれば、奥正親町長(64)の“パワハラ”が理由の一つだという。
奈義町は人口約5700人の町だが、2014年に出生率が「2.81」と非常に高くなり、全国的に注目されるように。米国や韓国、オランダなどの海外を含む自治体の訪問は年間50件を超え、今年2月19日には「異次元の少子化対策」を掲げる岸田文雄首相が同町を視察。地元の親子連れの話にメモを取りながら、「地域ぐるみで子育てに取り組む町づくりをしており参考になった」などと報道陣に語っている。
だが、町役場職員の一人が語る。
「昨年度、町役場の全職員89人のうち、定年退職者3人のほかに、20代、30代の若手職員を中心に10人が中途退職しました。割合でいえば11.2%にもなる。また、奥町長体制の4年間で中途退職した職員数は合計24人で、全職員数の6.6%。津山市や美作市、久米南町など近隣自治体のこの3~5年の中途退職率は、奈義町議らが調査した結果によると1~2%台なので、奈義町の数字はかなり高いといえます」
アンケートに職員の“告発”「机にバインダーを叩き付け…」
小誌は2022年1月発行の「町民有志のニュース」と題された文書を入手。内容は、退職者を含む役場職員に対して行われた「奥町長からパワハラを受けたことがあるかどうか」についてのアンケートの結果だ。それを見ると、〈パワハラを受けたことがある〉と回答したのが8人、〈同僚がパワハラを受けるのを見た〉と回答したのが12人。パワハラの具体的な内容については次のように記載されている。
〈会議が終わった後、床を蹴り「段取りが悪い」と職員がいる前で叱られた〉
〈たいした用事ではなかったが、分からないので尋ねたらすごい剣幕で怒られた。以来、恐怖を感じながらの仕事です〉
〈仕事で「難しい」と言ったら、できないなら「辞めるしかない」と言われた〉
〈担当業務のことで激高し、机にバインダーを叩き付けられた〉