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「彼の取材が楽しみでしかたがない」言葉の魔術師、広島・床田寛樹の話はなぜ面白いのか

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/04/27

企業の人事部も唸るようなサイクル

「体の開きが早くなる」という相談をチームメイトから受けたことがあった。

 それに対する床田の話はロジカルだった。

「開きが早いなら、右肩(前側の腕)をひとつ前に入れるイメージにしてはどうか」

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 加えて、床田は心がけていることがある。発した言葉を、自分の動きで確認してみるのだ。

「そういうことを自分でやってみて、把握することも大事にしています。言葉にしたことは、実際にやってみます。そうすることで、気づくことがあります」

 ノウハウを言語化する。惜しげもなく共有する。再確認することで、本人のスキルアップにもつながる。まさに、企業の人事部も唸るようなサイクルが展開されている。

 そうか、言語化することが、選手にもプラスになっているのか。ならば、我々メディアも、遠慮なく質問をぶつけよう。そこで、念のため聞いてみた。

「取材の質問から、何か技術面で発見をしたエピソードとか、ありますか?」

 床田は、いつもの笑顔に戻り、少し背中を丸めて、恐縮しながら答えてくれた。 

「すいません。そ、それは、あんまりないですね……」

 いつも報道陣に話題を提供してくれる。もちろん、白星も運んでくれる。そんなナイスガイのお役に立つためにも、発見があるような核心を突いた質問をできるようにならねば。そんな気持ちにさせられた。

◆ ◆ ◆

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