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「大谷君ってこんなに熱いタイプだったんだ」日本人MLB公式カメラマンだけが捉えていた“大谷翔平の意外な顔”〈WBC衝撃写真〉

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「ベンチに向かってガッツポーズをするんじゃないか」

 WBC決勝、9回を前に、三塁側のカメラ席で僕は決断を迫られていました。一塁側に移って、日本のベンチの向かい側から選手が駆け出してくるのを撮るべきじゃないかと。毎年撮影しているワールドシリーズとかなら、多分そうしています。そのほうが、マウンドに集まって歓喜する写真が撮りやすい。でも、僕は三塁側に残りました。「大谷君は、ベンチに向かってガッツポーズをするんじゃないか」。そう思ったからです。

 予想は当たりました。(マイク・)トラウトから三振を奪うと、彼はすぐにベンチに向いてガッツポーズ。さらにグラブと帽子を勢いよく投げました。日本のベンチ側にいたから、この写真のように彼が絶叫しながら投げる様子がしっかり撮れたんです。一瞬の偶然と思いますが、よく見たら左手は「一番」のかたちになってますね。

 

 このあとはベンチから飛び出す選手が前にどんどん被ってきて、やっぱり歓喜の様子は思ったように撮れなかったんですけど(笑)、特別な瞬間が撮れた1枚でした。

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頭上に伸びた手の先には…

 優勝後のシャンパンファイトは、入れると思ってなかったんです。カメラの数はかなり制限されると聞いていたので。でも始まる直前、MLBの上司の厚意で運良く入れることになり、慌ててカメラとレンズを持って会場に入りました。