坂本龍一さんの訃報を新聞はどう報じたか? 音楽家としての功績はもちろんのこと、活動が多岐にわたる方だったので、報じるべきことが膨大にある。その情報の取捨選択から、新聞各紙のキャラクターの違いも見えてくる。私のライフワークである「新聞の読み比べ」としても読みごたえがありました。
新聞各紙を読み比べると…
まず訃報翌日の紙面(4月3日)を見てみよう。
朝日『坂本龍一さん死去 71歳 YMO、世界的音楽家』
読売『坂本龍一さん死去 71歳 YMO、「ラストエンペラー」』
毎日『坂本龍一さん死去 71歳 「YMO」「ラストエンペラー」』
産経『坂本龍一さん死去 71歳 YMO「ラストエンペラー」』
東京『坂本龍一さん死去 71歳、がん闘病 YMO、「戦メリ」』
日経『坂本龍一さん死去 71歳 YMO、「ラストエンペラー」』
「毎日」と「東京」は一面頭、トップニュースで伝えた。「朝日」「読売」は一面の左上で、「産経」は一面の中央あたり。日経は一面下。いずれにしても各紙が一面で報じていたので坂本龍一さんの存在の大きさがあらためてわかる。
では社会面を見てみよう。じわじわと各紙の特徴が出てきます。
朝日『坂本音楽 思想すら表現 テクノ牽引、反原発訴え』
読売『世界のサカモト 多彩な音 表現への情熱 最期まで』『音楽の最前線 闘い続け』
毎日『日本の「顔」 世界の坂本 活動地域 広げた生涯』
産経『テクノ 世界に衝撃』
東京『世界のサカモト 脱原発』
日経『未知の音 求めた改革者 反骨心、垣根崩す』
訃報から2日目(4月4日)の社会面は、
朝日『「非戦と非核」音楽通じて訴えた 坂本龍一さん追悼』
読売『坂本龍一さん 平和の調べ 惜しむ 「偉大」「気骨ある人」』
毎日『坂本龍一さん 鎮魂の音楽 脱原発・安保 声上げ続け』
産経『坂本龍一さん 追悼広がる 北野武さん「仲間いなくなった」』
東京『原発反対の奏で 人間くさく』『音楽の魅力 永遠に求め』
日経『坂本龍一さん死去に被災地悼む 復興へ「音楽で勇気」』
いろいろ味わい深くなってきます。注目したいのは社会的な活動、発言についての取り上げ方。
各紙の違いが表れたポイントは
朝日、毎日、東京は「反原発」「脱原発」などの文字が見出しにある。それに対して読売、産経は音楽を通じた「被災地支援」に焦点を合わせている。東日本大震災と坂本龍一という同じトピックでもいわゆるリベラル派・保守派によって切り口が違ってくるのだ。