「夫を騙して来ている人妻も…」
しかし帰国から時間がたつと、エージェントから「次●●の国はどう?」「●●が1日で▲円稼げるから、短期で行ってみれば?」などと甘い誘いが続き、Aさんはマカオや香港、台湾、フィリピン、シンガポール、オーストラリア、アメリカと2週間から3カ月の出稼ぎを頻繁に繰り返すようになっていった。
「アメリカを除けば、客はどこの国でもほぼ中国人」で、一緒に働く日本人女性は「歌舞伎町かミナミのホス狂いがほとんど」だったという。
「彼女たちは一緒にご飯を食べる時も『帰ったらこんな飾りボトル入れるんだ』『シャンパンタワーするんだ』とずっとホストの話しかしませんでした。なかには1年の半分を海外で過ごしていて、英語や中国語を話せるような子もいました。
少数ですが、私のように貯金を作りたいだけという理由の子もいましたよ。ただ仕事は風俗嬢やキャバ嬢で、夜職以外は見たことない。独身が8割ぐらいでしたが、結婚している人もいました。出張とか、実家の両親の看病に行くなんて夫を騙して来ている人妻にも会ったことがあります」
中国人客のネットワークでNOがつけばオワリ
日本と違うのは“お客様ファースト”であり、女性側のサービスの良し悪しではなく、客の根も葉もない口コミに稼ぎが左右されてしまう点だったという。
「例えば吉原で働いていて、客のアンケートでいつも満点とるような子でも、ある中国人客がNOと言えば、密な中国人ネットワークの中で噂が広まり、街を変えないと全く稼げなくなる子もいました。日本でいう風俗掲示板『シティヘブン』のような中国のポータルサイトに悪いレビューを書かれて、稼げなくなるパターンもありましたね。
一方、容姿やスタイルが悪く日本では全く稼げていない子で、キスもフェラもしないけど愛嬌だけはいいといった子が、なぜか超人気嬢になるパターンもありました。中国人の基準って本当にわからないんですよ……」
短期間で大金が稼げる海外出稼ぎ売春。しかし最近、この“お客様ファースト”と悪徳エージェントのずさんな管理が深刻な問題を招いているという。渡航した日本人女性に避けがたい危険を招くケースが頻発しているようなのだ。