4月9日投開票の北海道知事選挙で169万票あまりを獲得、野党統一候補などを圧倒して再選を果たした鈴木直道知事。支援者が喜びに沸いたウラで、道内テレビ局が鈴木知事陣営と番組出演を巡りトラブルとなっていた。「答えたくない質問をするなら出ない」という知事側に対し、局側も交渉の暴露で応戦。何があったのか。
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道内テレビ局と選対事務所関係者の間に起きた“ひと悶着”
「長引くコロナ、物価高からみなさんの暮らしをしっかり守っていく。エネルギー・デジタル・食という3つのキーワードで相乗効果を発揮し、北海道の価値を押し上げていく。その信任に応えるべく、約束をしっかり果たしながら北海道を前へ進めていく」
4月9日午後8時の投票終了直後。いわゆる「ゼロ打ち」で当選確実の報を受け、ほどなくして選対事務所に入ってきた鈴木直道知事。後援会長でニトリホールディングス会長の似鳥昭雄氏や支援政党の国会議員らと固い握手を交わし、万歳三唱の後、マイクを握って2期目の抱負を述べた。
支援者が喜びに包まれていた裏で、道内テレビ局と知事の選対事務所関係者の間にひと悶着があった。
「開票当日の時点で当選は確実だったため、道内テレビ各局が地上波やネット配信で行う生放送番組での単独インタビューを打診した。だが断られた局と、出演した局がある」(道政クラブ記者)
本稿掲載時点で、断られたことがわかっているのはテレビ朝日系列のHTB北海道テレビ、TBS系列のHBC北海道放送、NHK札幌放送局。出演したのはフジテレビ系列のUHB北海道文化放送と日本テレビ系列のSTV札幌テレビ放送だ。
「情報番組のアナウンサーからの質問に高をくくっていた」と推測
このうち“破格の対応”だったのがUHB。当選翌日の10日月曜、UHBの夕方ワイド「みんテレ」(午後4時50分~)へ生出演した。メーンキャスターの廣岡俊光アナウンサーらが経済対策について質問。知事も一丁目一番地に掲げている政策だけに「牛乳券やお米券は道民にも実感があると思う」「中小企業支援で賃金が上がらないと実感は得られない」などと語った。
UHB関係者は「番組関係者と鈴木知事の個人的なつながりや、選対事務所へのアピールが実った」と話す。
だが生出演を見た他局の関係者は「“ふわっとした”話に終始して、知事が答えに窮するようなことも、知事の答えに対する更問い(回答に対する質問)でのツッコミもなかった。選対事務所サイドも、情報番組のアナウンサーからキワドい質問が飛ぶことはない、と高をくくっていたこともあるのでは」と推測する。