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 一家が寝静まった未明に灯油を撒いて火をつけるという、強い恨みを持った犯行にも思われるが、近隣住民は「みんな人柄も温厚だし、誰かの恨みを買うようには見えなかった」と口を揃える。利美さんについて、知人男性が話す。

火災のあった十文字さん宅

「利美さんは地元の左官職人を本職としながら、農家もやっていました。この15年くらいは建設会社にも就職し、ショベルカーに乗って真面目に働いていたようです。利美さんは30年以上前からバイクに乗るのが趣味。地元のツーリングサークルの初期メンバーで、いつも革ジャンを着て、1450ccのハーレーダビッドソンに乗っていました。毎年4~11月にかけて開催するツーリングでは、かつて小学生だった長男を乗せてきたこともありますし、数年前の日米交流イベント『三沢アメリカンデー』では、行方がわかっていない孫の弥羽ちゃんをサイドカーに乗せ、楽しそうにパレードに参加していました。あんなに孫を可愛がっていたのに、こんなことになるなんて信じられないですよ……。火事があった朝、ツーリング仲間から連絡が来たときは絶句しました」

バイクが趣味の利美さん(抄知さんのFacebookより)

「財産分与で親族ともめている」

 そんな幸福な一家だったが、「最近、事件の予兆を感じることがあった」と知人男性が打ち明ける。

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「実は、先週、利美さんからツーリングサークルの新年会の出席の件で電話があったんです。いつもは年上の私にも臆せず元気に話しかけてくるのですが、その時に『もうバイクを乗るのを止めたい』と気落ちしながら話していました。その時に、『おや、何かあったのかな』と気になっていたんです。それでも、新年会には来ると言っていたので、その時にじっくり話を聞こうとは思っていたのですが……。詳しく中身は知りませんが、5年ぐらい前から財産分与で親族ともめているという話は聞いていて、もしかしたら今回の火災と関係しているのではないかと思っています」