青森県六戸町の十文字利美さん(68)の自宅から13日未明、突如火の手が上がり、焼け跡から5人の遺体が発見された火災。現場となった集落から車を数分走らせると、そこには取り残されたように放置された小屋があった。放火殺人の疑いで自宅に家宅捜索が入り、自身も火災に巻き込まれて死亡した可能性が高いとみられる砂渡好彦さん(92)が所有していたのだという。砂渡さんが農家をしていた頃に、ニンニクを貯蔵していたというが、他にも灯油を貯めていたとみられる3つのドラム缶と、抽出に使用するポンプが置かれていた――。
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「爆発するように火が上がっていて、とても生存者がいるようにも見えなかったし、近づくこともできなかった……。外にあった砂渡さんの車は、すぐに敷地から出られるような位置に止めてあったから、自分だけは逃げるつもりで火を付けたんじゃないかと思いますけどね。灯油かガソリンを大量に撒いたもんだから、自分の服にも付いて引火しちゃったんじゃないかな。火を消しに行ったときには、玄関にも1つポリタンクが転がっていましたよ」(13日の火事で鎮火に関わった地元の消防団員の男性)
財産分与をめぐるトラブルは“おまけ”の理由に過ぎない
青森県六戸町で13日未明に起きた十文字さん宅火災事件、火災から3日経った現在も、十文字さん一家の女性4人と、親族の砂渡さんと連絡が取れておらず、見つかった遺体は彼ら5人の可能性が高い。
火災発生当初から事件の背景には、十文字さん一家と砂渡さんの間で財産分与をめぐるトラブルがあったのではないかと囁かれてきた。
「確かに両者の間には、土地をめぐるトラブルはあったと記憶しています。ずいぶん昔の話ですが、きちんと土地登記をしないまま、代々砂渡家が使っていた農地がありました。その場所で十文字家が農作業を行ったため、好彦が土地を『奪われた』と話していたことがあります。とはいえ、2反ぐらいのものですけどね。田舎の農家にしてみれば、恨みに発展するだけの価値ある土地かどうか……。実は、これは最近になって生まれた、“オマケ”の理由に過ぎません」
古くから近隣に住む老婆はこう語ると、十文字家と砂渡さんの血族による争いの一端を明かした。