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――それからパーソナルジムを開くことになったと。

坂本 最初は、以前勤めていた探偵会社の会長と「兵庫県の芦屋でやろう」と計画が進んでいたんですけど、話の途中で親父が死んじゃった。かあちゃんを一人残して行くわけにもいかないから、芦屋にはいけませんでした。

 東京のどこかで出すことも考えました。でも、やっぱり家賃が高いし、敷金礼金も必要になってくる。仮に用意できたとしても失敗したらどうしようって。だから、地元でオープンすることにしました。

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かつてを振り返る坂本一生 ©文藝春秋 撮影/坂本一生

1カ月、2カ月で筋肉はつかない…

――トレーニングに来るのはどんな人たちですか?

坂本 八千代市近辺の一般の方々ですね。年齢は20代から78歳まで。うちはオープンしてから6年ほど経つけど、78歳の男性はもう5年くらい来ています。かつてはスクワットを100キロくらいのオモリを持ってやっていました。そんな78歳、なかなかいないですよ。ただ、末期のがんになってしまい、もう効く薬もないそうです。本人は「身体が動くまで通い続ける」と話しているけど、だんだん痩せてきていて、今はスクワット70キロくらいかな。

坂本一生 ©文藝春秋 撮影/釜谷洋史

――トレーニング内容はどうやって決めていますか?

坂本 それはもう人それぞれですね。筋肉量をはじめ身体組成に合わせてトレーニング内容を決めます。ただ、何でもそうですけど、トレーニングって継続が必要じゃないですか。1カ月、2カ月で筋肉がつくわけない。役者だって2カ月そこらでうまくならないでしょ。梅沢富美男さんってもう何十年も役者やっているから大御所になっているんです。僕は19歳からトレーニングしているから、もう32年が経ちます。だからトレーニング界では大御所みたいなもの。知識だって、食事法だって時間をかけて習得していくんです。そういうことがわかっていない人たちが多いように感じます。

――実際にはどうやって筋肉を増やせばいいんでしょうか?

坂本 夏が終わったころから熊みたいに食べて、筋肉も脂肪も増やします。そしてだいたい春くらいから徐々に減量していく。それを何年も何年も繰り返して、筋肉を少しずつ残していくわけです。