〈「便利屋!お助け本舗」取締役 坂本一生〉
93年に「新加勢大周」騒動で一躍有名となった坂本一生(52)。芸能界での紆余曲折を経て、プロレスラー、トラック運転手、鳶職人、ホスト、探偵などの職業を経験してきた。そして2011年、坂本がたどり着いたのは「便利屋」の役員だった。(前編を読む)
しかし、約4年後の2015年、坂本は「便利屋!お助け本舗」(以下、お助け本舗)の“やらせ”を自ら内部告発することになる。“やらせ”のお粗末な実態とはどのようなものだったのか。そして、お助け本舗との縁を切った坂本が選んだ道とは――。現在、身体を身長178センチ、体重102キロ、胸囲122センチにまで育て上げた坂本が、人生を“ビルドアップ”してきたこれまでの日々を振り返る。
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「紛失した結婚指輪を糠漬けの中で見つけた」と捏造
――2015年、坂本さんは「週刊ポスト」で2号にわたり、「お助け本舗」がNHKの人気番組『ドキュメント72時間』で“やらせ”をしていたことを告発しました(2015年5月22日号、同29日号)。なぜ声を上げようと思ったのでしょうか。
坂本一生(以下、坂本) 僕は広告塔として利用されていたんです。肩書きは取締役なのに、何の権限もありませんでした。また、年収2000万円という設定でしたが、実際には月収10万~30万円程度しかもらっていません。そんな環境のなかで、テレビや雑誌で「お助け本舗」をアピールするときには“捏造”したエピソードを言わなければならなかったんです。
――どんな“捏造”エピソードでしょうか?
坂本 いま振り返ればバカバカしいですけど、「紛失した結婚指輪を糠漬けの中で見つけた」とか「スワヒリ語しかしゃべれないウガンダ人を案内した」とか。全部会社から渡された想定問答集を頭に叩き込んで答えていました。
――NHKでの“やらせ”には坂本さんも関わっていた?
坂本 僕は関係も出演もしていませんが、放送を見て驚きました。番組内の“依頼者の家”は「お助け本舗」の社長の奥さんの実家だった。他にも、深夜に女性宅のお風呂で小さなナメクジが2匹見つかり、それを代わりに駆除するというシーンがありました。これも事前に会社内で段取りが決まっていて、依頼したのはスタッフの知人女性です。
これまで自分で捏造エピソードを披露するだけでも我慢ならなかったのに、NHKでも“やらせ”を流している会社に対して限界でしたね。すぐに辞表を提出して、「週刊ポスト」にこれまでついてきた嘘を告白しました。