「逃げてくれ!」「退避して」――。
15日昼前、和歌山市雑賀崎の漁港の特設会場で、岸田文雄首相(65)の応援演説の直前、発煙筒のような物体が投げ込まれた。直後に爆発音がしたのち、周囲には白煙が立ち込めた。
岸田首相はSPに警護されて現場から避難したためけがはなく、会場付近にいた人たちも無事だったという。
昨年7月、安倍晋三元首相が奈良市で演説中に2発の銃弾に倒れたことは記憶に新しい。だが、この重大事件を受けて警護対策が強化されたにもかかわらず、またしても現職首相の地方遊説中に事件が起きてしまった。
「岸田さんの足元に何かがカランっと音を立てて落ちたんです」
事件が起きたのは、午前11時半ごろ。首相は漁港で海産物を試食したのち、自民党公認候補とともに聴衆の前に立って演説しようとしていたところだった。現場に居合わせた60代の男性が文春オンラインの取材に、混乱した当時の状況を語った。
「私は演説会場の壇上前から3列目にいました。正確な人数は分かりませんが、現場には100人以上いたでしょうか。岸田さんがいよいよ壇上に上がって演説しようってときに、後ろから何かが放物線を描くように私の頭上を通り過ぎて、岸田さんの足元付近にカランっと音を立てて落ちたんです」
岸田首相は、衆院和歌山1区補欠選挙(23日投開票)の応援演説のため漁港を訪れていた。この日は午前に同漁港を視察したのち、午前11時25分頃から演説する予定だったという。