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 岸田首相の演説を撮影しようと、大勢の人たちがスマートフォンのカメラを壇上に差し向けていたときに物体が投げ込まれた。

岸田文雄首相めがけて投げられた発煙筒らしき物体 ©時事通信社

「長さ30cmないくらいの金属製の筒に見えました。放り込まれたあと、後ろから『ワー』という声が聞こえましたが、犯人の声なのか周囲の人の声なのかは分かりません。

 振り返って見ると、犯人の近くにいたのか、漁師のおっちゃんが男の首根っこを掴んで引きずり倒していましたね。そのあと警察官かSPか男性4、5人が犯人の男に馬乗りになって取り押さえていました」

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 一瞬ともいえる出来事に、演説を見に来ていた人たちは声を上げたり、走って逃げようとしたりと、現場は騒然とした。

「警察官が『逃げてくれ』『退避して』と大声で叫んでいました。物体が投げ込まれて1、2分くらい経ったころでしょうか。みんなが逃げようとしていたときに、ボンと大きな音を立てて筒のようなものが爆発しました。

 特段変なにおいはなかったけど、あたりは白い煙が立ち込め、周囲からは悲鳴が上がって大変な騒ぎになりました。取り押さえられたのは20~30代の若い男で、黒っぽい服装をしていました」

取り押さえられた木村隆二容疑者容疑者 ©共同通信社

衣服の中に忍ばせていた「もう1本」の物体

 男が取り押さえられたときに、着衣からもう1本、筒状の物体が地面に転がったのだという。男性が続ける。

「どこからともなく『転がったぞ』と声がして、地面を見ると、同じような筒状の物体が取り押さえられた男の近くに落ちていたんです。これは爆発しなかったのですが、もし爆発していたら間違いなくけが人がでていたでしょうね……」

煙が立ち込める中、木村容疑者を取り押さえるSPたち

 警察官らに取り押さえられ、威力業務妨害容疑で逮捕されたのは、兵庫県川西市の職業不詳木村隆二容疑者(24)だ。全国紙の社会部記者は次のように話す。

「現在、木村容疑者は黙秘を続けているため、なぜ和歌山に来ていたのか、思想や背景は分かっていません。警察は全容の解明に向けて捜査をしています」

 安部元首相の襲撃事件を機に見直されていた要人警護――。そのさなかで起きた今回の事件の全容解明はまだこれからだ。

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