岐阜県のとある山中に位置する遊園地の廃墟。特別な許可を得て、内部を見学していると、そこには大量の手紙とカセットテープが残されていた……。
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手紙に記された数々の呪詛
管理人小屋には、書類が幾つか落ちていた。いつものように手に取り、つい見入ってしまう。その中に、銀行からの催告書を見つけた。廃墟が廃墟として残っているのは、そのほとんどが金銭的な事情だ。この廃墟も、末期には資金繰りが悪化していたことが想像される。
さらに捜索していると、箱の中から手書きの紙が大量に出てきた。その内容に、思わず手が止まった。
“大馬鹿野郎”
“本気で俺は怒っている”
“貴様を千回叩き殺しても俺の気持が治まらぬ”
非常に強い言葉が並んでいた。広告の裏に筆で書かれているところに、リアルな人間の意志のようなものを感じる。達筆なので読み取るのに少々苦労するが、内容が気になって読んでしまう。
“日誌に毎日バカヤロー、畜生、死ネと書かぬ日はない”
“昔から諺に「百害あって一利無し」と云うのがあるが貴様は「一億害あって一利無し」だ”
罵詈雑言のオンパレードだが、読み進めていくうちに事情が徐々に紐解けてゆく。これを書いているのは遊園地を運営していた会社の会長だ。あて先は主に社長を務める義弟で、ほかの従業員に宛てたものも少数ながらあった。
遊園地を創業した手紙の主である会長は、社長の座を義弟に譲ったが、その後、経営状態が悪化。それに対して怒りを爆発させていたようだ。