近年のコロナ禍からも脱却し、大型テーマパークは連日多くの人で賑わっている。その一方で、観覧車やメリーゴーランドなどをメインとした昔ながらの遊園地は、平成以降、減少傾向が続いている。としまえんの閉園が記憶に新しいが、スペースワールドや宝塚ファミリーランド、向ヶ丘遊園など、閉園した遊園地を挙げるときりがない。
また、かつては郊外の丘の上などに、地域に根差した小さな遊園地もたくさんあった。各都道府県ごとに数か所はあったのではないかと思うが、今ではほとんどが姿を消してしまった。時代の変化で仕方がないことではあるが、思い出が詰まった遊園地が無くなってしまうのは、切ないものがある。
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廃墟になった遊園地へ
岐阜県某所の山の上にも、かつてそんな遊園地が存在した。1980年頃に開園し、地形を活かして眺望や自然を見せつつ、動物園やゴーカートなどの遊具もあったが、2000年代に閉園したとみられ、現在は廃墟の状態となっている。
「いつか見学したい」と以前から思っていたのだが、敷地が私有地であるため入ることができなかった。そんな思いを抱き続けること数年、映像制作に携わる友人から、思わぬ誘いを受けた。遊園地の廃墟で映画を撮影しているので、見に来ないかと言うのだ。映画の撮影ともなれば、管理者だけではなく地元自治体にも話が通っている。こんなチャンスは二度と来ないと思い、すぐ現地に向かった。