きょう2月16日は、女優の松岡茉優の誕生日だ。1995(平成7)年東京生まれの23歳。映画『桐島、部活やめるってよ』(吉田大八監督、2012年)やNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)で注目されて以来、ドラマ、映画、舞台などで目覚ましい活躍を見せている。今月から来月にかけても、『blank13』(齊藤工監督)、『ちはやふる ‐結び‐』(小泉徳宏監督)と出演映画の公開があいつぐ。
筆者は、いまから5年ほど前、松岡がゲスト出演したある地方の映画祭を観に行ったことがある。映画祭では『桐島、部活やめるってよ』と短編『RAFT』(三宅伸行監督、2011年)の上映とあわせてトークショーも行なわれ、彼女はちょうど放送が終わったばかりだった『あまちゃん』の撮影時の裏話や、能年玲奈(現・のん)や橋本愛ら共演者とのエピソードなども披露していた。その達者なしゃべり、司会者との当意即妙なやりとりを観るうち、この子はきっとバラエティ番組でもいけると直感したものだ。実際、それからしばらくして、彼女はバラエティでMCなどを務めるようになった。
初主演映画『勝手にふるえてろ』は、見知らぬブロガーに向けて演じた
朝の子供番組『おはスタ』(テレビ東京)でデビューしたとき(2008年)から数えれば、芸歴はすでに10年を数える。昨年末には初の主演映画『勝手にふるえてろ』(大九明子監督)が公開された。そこで演じたのは、中学時代のクラスメイトにいまだに片思いし続ける24歳のOL。劇中、彼女が近所ですれ違う人たちを相手に、独白とも会話ともつかないセリフを繰り出すさまは圧巻で、さながら“松岡茉優劇場”という趣きだった(終盤ではミュージカルばりに歌うシーンもある)。原作者の綿矢りさとの対談では、以前から読んでいたブログの書き手にまさに主人公そのものというOLがおり、撮影中は《この人にこそこの映画を渡したい》《その一人に向けてつくろう、と考えながら演じていました》と明かしている(『文學界』2018年1月号)。
『勝手にふるえてろ』で古生物など好きなものにどっぷりハマる主人公の姿は、熱烈なモーニング娘。のファンでもある松岡自身と重なった。彼女が本人役を演じたフェイクドキュメンタリードラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』(2016年)では、その憧れのグループとコンサートで共演を果たしている。バラエティ番組でも推しメンなどについて語り出すと止まらない。いっそ、彼女が副音声で延々とモーニング娘。の魅力を語り続けるライブDVDをつくったら、面白いものになるのではないだろうか。