他事務所での芸能活動経験のある「手垢のついた子」を好まないと言われてきたジャニー氏だが、名古屋のBOYS AND MENの前身プロジェクトで活動していた平野は数少ない例外の1人。
永瀬は現・なにわ男子の西畑大吾、大西流星と3人のJr.ユニット「なにわ皇子」で活動していた。このユニット名は「Na(永瀬)、NiHa→Wa(西畑)、O(大西)」から来ているが、「Jはジャニー」というまことしやかな噂もあるほどの押されぶりだった。
当時は関西を拠点にしていた平野紫耀と永瀬廉の「しょうれん」2人が東京のジャニー氏のマンションに遊びにきて、自転車で遊びまわっていたという目撃談もファンの間では度々語られていた。
2014年5月17日には、『ファイト!YOUたち~ジャニーズJr. No.1決定戦』(TBS)という、当時のジャニー氏の寵愛事情がくっきり反映された“奇妙”なテレビ番組も放送されている。
「ジャニーズJr.のナンバーワンを決める」と銘打ち、100人のジャニーズJr.が、ダンス、体力、トーク力、歌唱の4つのステージに挑み、総合でナンバーワンを決める番組だった。
しかし審査基準がなんとも曖昧で、ダンスでは「表現力」が審査され、体力では「30メートル走を全力でやった後、もう一度走って『自分の限界を超えられた人』」という基準で、運営側が推すタレントに勝たせることができるようになっていた。
そしてこの決定戦で優勝したのはスペオキの1人、永瀬廉だった。しかし当時の永瀬はダンス、体力、トーク、歌唱どの部門においてもお世辞にも実力上位とは言い難く、人気Jr.の永瀬に箔をつけるための「出来レース」と見る向きが多かった。ちなみにオカモト氏も、その決勝に残っている。
自分のスぺオキを売り出すためならばなりふり構わない、という老境に入ったジャニー氏の様子がこの番組にはよく現れている。
デビュー済のタレントや、現在のJr.たちすら“疑惑”の範疇に…
しかし今回のオカモト氏の告発によって、ジャニーズの性加害問題は「過去の話」ではなく、10年も経っていない「現在の話」として再注目を浴びている。
そうなれば、オカモト氏と同時期に推されていた人気Jr.たちは大丈夫だったのだろうかと心配になるのも無理からぬことだ。これまでデビューしたジャニーズのタレントたち、さらに今のJr.すら“疑惑”の範疇に入ってきてしまう。
一連の報道に対し、ジャニーズ事務所はまず「2019年の前代表の死去に伴う経営陣の変更を踏まえ、時代や新しい環境に即した、社会から信頼いただける透明性の高い組織体制および制度整備を重要課題と位置づけてまいりました」と回答したが、それに「批判を封じるつもりか」と批判が殺到。
そうした批判を受け、さらにジャニーズ事務所は社員や所属タレントを対象に聞き取り調査を行ったことが4月21日に朝日新聞で報じられた。
同紙によると、「社内ヒアリングのため十分ではないとしつつ、現時点で問題点は確認されていないとしている」「一方、すでに退所した元タレント向けの相談窓口を設ける考えも文書で示した」という。
しかし「社内ヒアリングのため十分ではない」タイミングでの発表に、隠蔽の意図を感じてしまうのは筆者だけではないだろう。
所属タレントたちの名誉を守り、また、タレント、ファンの信頼を回復するためにも、ジャニーズ事務所は正面からこの問題に誠実に真摯に向き合い、蓄積された膿を出し切る覚悟で徹底的に調査する必要がある。