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文春野球コラム

元ヤクルト名物応援団員が考えた、果たして僕らの声援は120m先の打者に届いているのか?

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/05/02
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 今年も登板させていただくこととなりました元スワローズ応援団員の佐々木です。

 球場では皆様の前で喋るばかりでしたから文章を書くのはいまだに慣れず……どうかご容赦くださいませ。

 この記事を書いているのは4月30日。ただいまスワローズ7連敗中(のち、この日の阪神戦に勝利し連敗はストップ)。

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応援団引退後、初のライトスタンドで原稿を書いている

 去年まで31年間、連勝しようが、連敗しようが、球場に行くのは当たり前の生活をしていたので気づかなかったのですが、連敗が続くと、「俺が行って連敗止める!」とか「もう……私がいないとダメなんだから……」みたいな気持ちが浮かんで来るんですね。

 なので、急遽チケットサイト探したらこの日のチケットあるじゃないですか! 「さあ連敗止めに行こうか!」の精神で、チケット買って、ツイートして、いまスタンドに座ってこの記事を書いています。

 

 応援団引退後、初めてライトスタンドで応援しようと思います。正直諸々整理できていない想いはありつつも、昔に戻って声を出していきたいと思いますが、声を出していく、そう、今年はプロ野球ファンが待ちに待った「声出し応援」が帰ってきました! 喉の痛みに苦しみながら翌日の会社や学校に向かう日々が帰ってきました!

 バッターボックスに向かう山田哲人。構えたあたりで始まる応援歌の前奏。球場にこだまする「やまーだてつと!」の大ユニゾン。想像するだけでゾクゾクするほど最高です。

 いま座っているのはバックスクリーン横のエリアなのですが、ここでよく前に立ってファンの皆様に応援を呼び掛けていました。32年ぶりに180度逆の風景を見ております。

 ここからバッターボックスまで大体120ⅿくらいですかね。「選手まで届く声で応援お願いします!」と呼びかけていましたが、今自分で見てみると、結構な無茶ぶりですね……。

 

自分の呼びかけに、いつもニヤッと笑ってくれた相手チームのH選手

 応援団現役だった頃、ここに立って、ファンの皆さんの声が「今日は少し小さいなー」と思った時は、イニング始まる前に「みんな! バッターボックスは120m先なんだから! そんな小さい声じゃそこでセンター守っている○○選手にしか聞こえないよ!」って言ってから、振り返って「ねえ? ○○さん!」って、キャッチボールしている相手チームの某選手に声をかけると、待っていたかのように「ニヤッ」としてこっち向いて手を振ってくれるというお決まりのネタがありました。

 それを見たファンは「聞こえているんだ!」って実感してくれて、それまでより大きな声を出してくれる。そのくらいの距離で、インプレーでなければ声は聞こえているのは間違いない(H選手、いつもありがとうございました)。

 とはいえ、120m先のバッターボックスまで届く大きな声を出してもらわないと、打者には届かないはず。いや本当にそうなのか? 本当にそこまで声が届けば「声援」として打者に届いているのか?

 ここから先は私の私感ですから、間違っているかもしれないし、合っているかもしれない。

「そういう考えもあるのか」程度で読んでいただければと思います。

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