制球力抜群の3人を「二番手」坂本捕手が好リード
2023シーズンの阪神は全試合のおよそ6分の1にあたる26試合を消化して、貯金3。首位快走のDeNAを追って2位につけています。チーム防御率リーグ2位の2.73は予想どおりですが、その構成はちょっと想定外でした。
球界を代表するエース青柳が5試合で1勝3敗・防御率4.85、西勇も5試合で1勝2敗・防御率5.40、「二桁いける」の呼び声高かった若手コンビ、西純は3試合で1勝2敗・防御率5.65、もう一人の才木は5試合で1勝3敗・防御率2.86でともに二軍調整中。期待の先発投手4人を合わせると、18試合で4勝10敗です。
こんなの、普通なら大誤算じゃないですか! でも、「現役ドラフト」の大竹と、一軍登板なしだった3年目の村上の二人が救世主になりました。大竹は3試合で3勝・防御率0.51。村上は4試合(先発3)で2勝1ホールド。「完全試合未遂」あり、「完投完封で初勝利」ありで、防御率0.00(25回無失点)と、スーパーエース級の内容です。
さらに、左肩違和感で開幕ローテ入りを逃していた伊藤将が合流し、復帰初戦の巨人戦(4/27)でいきなり完投完封。この3人の合計で6勝0敗。先述の4人分の借金を帳消しにしました。
この3人の共通点はコントロールが抜群にいいこと。そして3人が先発した7試合はすべて「二番手捕手」坂本とコンビを組んだのも重要な共通点です。
不調の打者がいても打線を大きく動かさない
坂本はまず大竹の女房役として今季初先発マスク。梅野の休養日にしっかり結果を出したことで、途中からローテに入った村上ともコンビを組み、そこでさらに好結果を出しました。梅野の打撃不振もあって、伊藤将の復帰登板でも相棒になりました。
阪神でもコントロールのいい3投手。打者の意表をつく坂本の配球が見事にはまり、見逃し三振をビタビタと奪いまくりました。もちろん制球力抜群の投手があってのことではありますが、インサイドワークの良さを存分に発揮しています。
さて、一方この1カ月、岡田タイガースの攻撃には寂しいものがありました。開幕直後こそ活発でしたが、その後は1点しか取れない試合が7試合(1勝5敗1分)。その割に完封負けは1試合のみで、なんとか1点は取っていました(ちなみに昨季26試合時点での完封負けは6)。
その間、先に述べた梅野だけでなく、大山や佐藤輝、ノイジーも打撃不調の時期がありました。それでも、6番ライト(森下、板山、島田、井上)以外、オーダーを大きく変えることはほぼありませんでした。とりわけ悪送球も多い佐藤輝は打率1割台で低迷していましたが、ほとんど5番サードから動かさず。最近ようやく浮上の気配が見えてきました。