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「馬なりで好位追走」は岡田監督の狙いどおり

 1点しか取れず、打てないせいで負ける試合が続けば、普通は打線の組み替えを考えそうなものです。8番の木浪が首位打者レベルの高打率で、1番近本が打点をあげています。6番ライトは定着できず、3番ノイジーは急激に調子を落としています。もっと良い並びがありそうな気がしますが、岡田監督は動かしません。

 もちろん、考えに考えたオーダーなので、変えたくない思いが強いのでしょう。すぐにしっくりこなくても、そのうち馴染んでくれば機能すると、ゆったり構えているように見えます。貯金に執着していないようにも見えます。不振の主力打者が試合の中で苦心して実力をつけてほしい。そのためなら貯金を有効に使ってもいい。

 他球団のことはあまり気にせず、シーズンの前半は毎月2つ3つ貯金を増やすくらいのいいペースで進めるのが岡田監督の狙い。長丁場ですので、無理がかからないよう道中は「馬なり」でいい位置につけて、最終コーナーにかかるあたりでムチを入れて勢いをつけて伸ばしていくのが理想の展開です。

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阪神ファンの熱狂は諸刃の剣

 競馬でも競輪でもありませんので、先頭を走ったからといって風によるパワーロスはありません。でも、野球のペナントレースも逃げを打つと不利があります。ひとつは他球団からターゲットにされて包囲網を組まれること。いい投手を当てられて、引きずり下ろされることがあります。もうひとつは先頭を走ることで、選手たちが知らず知らず受ける重圧です。

 2008年、岡田監督が最後に阪神で指揮を執った年は、前半で拡げたゲーム差を守り切れず、巨人にまくられました。野球は不思議と確率と心理に支配された競技です。シーズン前半に驚異的な勝率でリードを奪ったとしたら、後半はその勝率がトータルで常識的な範囲に収まるようになります。少しのきっかけから、不安な気持ちにとらわれ、崩れることもあります。

 そこにはファンの心理も影響してきます。とくに阪神ファンは数が多いため、電波や新聞のメディアが騒ぎ立て、浮ついた雰囲気が醸成されます。ファンのパワーは諸刃の剣。甲子園球場では、大声援で相手チームを圧倒するほど勇ましいものですが、いったん不安に晒されるとすぐにシオシオのパー。暗黒時代の記憶はDNAに深く刻まれ、応援を放棄してネタに逃げ込む悪いクセがあります。自身が阪神のビッグファンである岡田監督なら、「好位追走」からのまくりで、ファンを一気にヒートアップさせることでしょう。

 今回もまた、みなさんがよくご存じの話や、何の根拠もない「感想文」をダラダラと書いてしまいました。もし、ご賛同いただけるようなら、HITボタンのポチをお願いします(配信先でお読みの方は、文春オンラインのオリジナルページで応援していただけると嬉しいです)。球場ではガンガン応援し、その他ではメディアに踊らされず、しかるべき時が来たら一気に盛り上げる。ぜひそんなシーズンに!

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