森信親金融庁長官が昨年発表した大胆な「金融行政方針」は、地銀(地方銀行)のMOF担(行政・政治関係の企画部門担当者)を震え上がらせた。方針の大転換で、地銀には地方経済を活性化するため、ただ資金提供するだけでなく、事業性評価に基づいた継続的な本業支援といった積極的な取り組みが求められることに。本書はその改革を、豊富な証言を交えて描き出す。
「内容は取材経験豊富で『週刊文春』さんに『長官に深く食い込んでいる』と褒められた筆者にお任せでしたが、キャラの立った人たちを多めに書いてくださいとだけはリクエストしたんです。『半沢直樹』『下町ロケット』の銀行マンたちが面白かったので(笑)。編集として気を遣ったのは、あとは発売のタイミングです。昔なら月刊誌や新聞がやっていたようなスクープを、上手く新書という形でやれたと感じています」(担当編集者の木所隆介さん)
問題意識が広い層に伝わるきっかけは広告だった。
「日本経済新聞に打った広告が売り伸ばしに効果大でした。地方の金融機関にいる人たちに加え、経営者を始め、変化の影響を受ける立場の人たちからの感想を載せたことで、発売から2カ月以上過ぎてAmazonランキング全体1位になりました。地方の書店で品薄で、出張で東京に来た方が、何十冊も買って帰ったという話も聞きます」(木所さん)
まさに地方在住者必読の書。ぜひ早めの入手を。
2016年5月発売。初版8000部。現在12刷11万5000部