2001年の米国同時多発テロは、世界中の航空会社に大打撃を与えた。旅客が激減し、同業他社が経営統合やリストラを断行する中、「顧客満足の追求」によって困難を乗り越えたANA。本書はその過程で同社の従業員たちが発見した、創業以来脈々と受け継がれる《ANAらしさ》――《青い血》をまとめた1冊だ。
「この本が出るまで、ANAさんのお仕事にまつわる感動エピソード集のような本はあっても、ビジネス書として書かれた本はなかったんです。そこでお話を聞きに行ったら、いきなり《青い血》のとても熱いお話が飛び出しまして、ぜひ本にしたいと考えました」(担当編集者の田中怜子さん)
《青い血》とは、ひとことでいうと《おせっかい》の文化だ。安全第一の空の現場で、少しでも気になったことがあれば、従業員はお互いに「あれっ、大丈夫?」と声を掛け合う。簡単なことだが、数万人規模の大会社で行うのは容易ではない。そのための実践的なノウハウが詰まっている。
「面白いことに、お盆や年末年始には特に売上が伸びるんです。みなさん、その時期に里帰りなどで飛行機を使われるじゃないですか。書いてあることが機内で実際に行われているかどうか、確認されるみたいです。そのくらいの身近さも、ご好評の理由だと思います」
昨年末にはシリーズ第2弾『ANAの気づかい』も登場。セットで空の旅のお供にされてはどうだろう。
2014年6月発売。初版8500部。現在15刷6万9000部