「関税法に基づき、令状を取得すれば強制的にレントゲン撮影を行うことができるため、東京税関は令状を取って強制的にレントゲン撮影を行いました。容疑者の身柄は医療機関に移され、そこで検査したところ、容疑者の体内から粒状の異物が多数確認されたようです。後に容疑者の体内から取り出された100個を超える異物からは、末端価格で6000万円相当の覚せい剤が見つかっています」(別の社会部記者)
これだけを聞けば、「東京税関の検査員の鋭い嗅覚により不審な外国人が判明し、日本への覚せい剤密輸を未然に防いだ」という美談だ。しかし、違法物資の流入を水際で防ぐための税関職員の日々の業務は決してスマートではない。
そこには“過酷すぎる業務”に奮闘する、税関職員の“涙ぐましい努力”があるのだ。
容疑者の体内から異物を発見 その“嫌すぎる手法”とは…
税関職員であるAさんが、日々の業務についてこう解説する。
「外国人は、さまざまな手段で日本に麻薬や覚せい剤など違法物資を持ち込みます。それは例えば、土産物の仏像の中に仕込んだり、匂いの強い薬品の中に紛れ込ませたりもする。
しかしそれらは、麻薬探知犬や手荷物のX線検査で見抜かれることが多く、税関職員からすれば“可愛いもの”。税関職員にとって、最もイヤな業務の一つが、体内に禁止薬物を隠して持ち込んでくるケースなんです」
税関職員が空港などで不審な人物を見つけた場合、まず手荷物検査を行う。手荷物検査で異常がなかった場合、任意でのレントゲン撮影に応じてもらうようにする。しかし、不審者がそれに応じないとなれば令状を取得し、強制的にレントゲン撮影することとなる。
「ここで異物が見つかれば、付き合いのある医療機関に連絡し、異物の取り出しの作業が可能か確認し、可能な医療機関が見つかれば容疑者の身柄を移します。
ここで問題なのが、“体内からの異物の取り出し方”なんです。医療機関で開腹手術などするわけにはいかないので、下剤などを処方してもらい、排便する形で異物を取り出すこととなる。税関職員は、この現場に立ち会わなければならないんです」